「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。組織革新の方向は自律化です。自律化によって組織の意思決定スピードを速くします。意思決定を速くするために組織は「分権化」していきます。組織の前線に意思決定権限を持たせることによって変化への対応を速く自律的にできるようにします。
■3段階で自己決定化を進める
組織の前線に意思決定権限を持たせる場合、2つの段階に分けて進めるとよいでしょう。第1段階は日常業務の自己決定化です。営業・開発・調達・生産などで日々発生する業務の意思決定を前線に移譲します。第2段階は年次計画の自己決定化です。年次方針や年間の予算計画などを前線に移譲します。第3段階は中長期的な判断の自己決定化です。新たな事業の開始、正社員の採用、設備投資など、中長期に影響する判断を組織の前線に委譲します。
■年次計画の自己決定化を進める
日常業務の意思決定を前線に移譲したら、次は年次計画の自己決定化の段階へ進みます。課や係といった単位組織ごとに売上げと費用の予算計画を策定します。
■チャージレートを把握する
課や係といった単位組織で売上げと費用の両建てで予算を組む場合、部門間での商品・サービスの売り渡し価格を設定しておく必要があります。その価格を設定するには、製造原価の計算とどうように間接部門であってもチャージレートを把握する必要がでてきます。チャージレートすなわち作業1時間あたりの労務費・経費の金額を実績から計算します。具体的には、年間の実績金額と総時間のデータから以下のような計算式で算出します。
賃率=労務費(年間) ÷ 年間総時間
=[ ]千円 ÷[ ]時間 =[ ]千円/時間
経費率=経費(年間) ÷ 年間総時間
=[ ]千円 ÷[ ]時間 =[ ]千円/時間
チャージレート(加工費率)=賃率 + 経費率
=[ ]千円 +[ ]千円 =[ ]千円/時間
■作業時間管理を進める
チャージレートは予算の設定に使うだけでなく、商品やサービスメニューごとの利益管理にも使います。実績原価を算出するには実績の作業時間を把握する必要も出てきます。商品やサービスに直接関わる作業、付帯的な作業に大別し、それぞれが何時間かかったかを把握し、記録・集計する必要があります。
作業時間の記録・集計にはパソコンやコンピュータシステムが必要となります。その前提としては各部門で実施している作業をリスト化しておくことが必須です。ひとつの部門で行われている作業を30〜50項目程度にまとめてリスト化します。そして毎日誰がどの作業に何時間かけたかを記録していきます。
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