「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。業務を変えるアプローチは「つなぐ化」です。納期遅れの症状を見極めてポイントとなる業務と前後の業務のつながりを1点集中で改善していきます。
■分岐・合流の多い作業区を抽出する
分岐・合流がある作業区は、大きな停滞が発生しがちです。モノや情報の分岐合流を減らして直流にすることが改善の重要な方策となります。改善のためには、まず分岐・合流が多い作業区を抽出します。
最初に作業区の間を移動するモノあるいは情報のルートを図に表わした「作業ルートマップ」を作成します。(清流化ツールNo6 「作業ルートを地図で見る」参照)
■分岐・合流・分割・合体を確認する
作業ルートマップの中から分岐数・合流数の合計が多い作業区をいくつか選定します。通常、上位3作業区程度が適切でしょう。対象とする作業区の数だけ後述する「分岐合流チェックリスト」を用意します。
「分岐合流チェックリスト」に対象作業区の分岐数・合流数を記入します。また、分割・合体の有無を記入します。分割・合体とは分岐・合流の特殊な場合です。例えば、シート材料から寸法の違う部品を切り出し、別の製品を製造するために複数の作業区に分岐する場合があります。ここでは移動ルートの分岐だけでなく、モノの分割が発生しています。また、複数作業区で作られたものを組み立てる作業区では、移動ルートの合流だけでなくモノの合体が発生します。
■基礎情報を洗い出す
対象作業区の基礎情報を次表のように整理しておきます。
作業区の基礎情報
担当職場 | |
勤務制 | |
処理対象 | |
月間の処理量 | 平均 最大 |
月間の品種数 | 平均 最大 |
ロット量 | |
リードタイム | |
■納期短縮の阻害要因をチェックする
「分岐合流チェックリスト」のチェック項目を記入します。はい/いいえだけでなく、定量的な表現で実態がわかるように記述しておきます。
分岐合流チェックリスト
チェック項目
分類 |
項目 |
結果 |
定量表現 |
着手時期の情報伝達 |
作業指図書に期限が明記されている |
はい いいえ |
|
指図書に対する進度把握と対策が実施されている |
はい いいえ |
|
対象作業区の余力 |
月間負荷量の変動が±20%以内である |
はい いいえ |
|
負荷変動を残業等で吸収できている |
はい いいえ |
|
対象作業区のリードタイム |
この作業区の所要日数が重点改善業務全体の日数の30%以内である |
はい いいえ |
|
所要日数のうち正味処理時間が50%以上である |
はい いいえ |
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前後の作業区との間の停滞 |
前後作業区と開始終了のタイミングを合わせた生産計画になっている |
はい いいえ |
|
複数の後作業区や前作業区に対してそれぞれ毎日処理が実施される |
はい いいえ |
|
前後作業区とロット量が同じである |
はい いいえ |
|
ひとつの作業指示に対して複数の設備や担当者が並列作業している |
はい いいえ |
|
不良やミスによる仕損じや再処理は少ない |
はい いいえ |
|
■納期短縮の阻害要因を絞り込む
対象とした作業区のワークシートができたら、部門チームメンバーで納期短縮の阻害要因を絞り込んでいきます。どの作業区のどの要因が重点改善業務全体に影響しているかを話し合い、要因を絞り込んでいきます。
■対策を策定する
分岐合流の要因をつぶすための対策を策定し、実施します。理想は分岐合流なしで前後の作業区と1対1でつながる直流です。直流に近づけるための対策を実施します。
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