第2章 5つのステップ別実施事項
(21)製品・流通在庫削減段階の創発活動:流れに関する全社の状態を知る
製品・流通在庫削減段階は、企業間のモノの流れに着目する。企業内のレベルアップを基礎として、顧客との間にあるモノの流れをスピードアップするのだ。
見込み生産をしている企業ならば製品在庫の削減が大きな課題となる。一方、受注生産をしている企業は、製品在庫は比較的少ない。しかし製品の完成と出荷の同期化や、出荷手続き・据付工事の期間短縮を進める必要がある。
顧客の持つ在庫も対象である。消費財ならば、顧客の流通企業が持つ商品在庫が対象である。自社の製品が顧客の部品や材料として使われるならば、顧客企業の持つ部品・材料在庫が対象となる。
製品・流通在庫削減段階の創発活動は、まず企業内の流れの状態を関係者で認識することから出発する。「清流化月報」はそのツールである。これは評価指標の実績を示す月次の報告書である。関係者が現在および過去の各指標の推移を把握し、さらに向上するための対策を検討する基礎資料となる。
流れに関する評価指標は各部門で個別に把握するだけでは不足である。全社で横断的に把握しておく必要がある。調達、生産、営業それぞれの段階の納期、リードタイム、在庫を網羅することが重要なのだ。そこで「清流化月報」には次のような情報を盛り込む。
・今月の概況
・要望納期充足率(調達、生産、営業)
・回答納期達成率(調達、生産、営業)
・リードタイム(調達、生産、営業)
・在庫金額(部品・材料、仕掛、製品)
今月の概況は、前月や前年同時期との比較、目標との比較から、注目すべき点を記述する。また各評価指標の実績は、グラフ化して直感的に理解しやすくする。
「清流化月報」は、顧客企業と流れの改善を検討する場合にも重要である。顧客と在庫の持ち方、輸送方法、発注の手段などを話し合う時にも、その前提条件を示す情報となる。