第2章 5つのステップ別実施事項
(20)リードタイム短縮段階の改善活動:情報伝達を3D化する
リードタイム短縮段階の改善活動は、情報の流れに関する改善を各部署で実施する。ITを利用する場合にも、様々な改善が伴わなければ効果を発揮しない。
生産部門では、製造日報の見直しが重要である。製造の日報や記録は年月とともに種類が増える傾向がある。種類が増えると記入に手間がかかり、提出が遅れることもある。コンピュータシステムに直接入力するのが理想である。しかし日報の種類が多いままでコンピュータシステムを開発すると、画面数が増えて投資額も増加する。生産計画業務ではサイクルタイムや稼働率などをいつ見直すのか、最新の生産計画を関係部署にいつ配布するのかといったルールを決めて守ることが必要となる。こうした事項を各職場の改善活動で取り組む。
調達部門ではサプライヤへの情報伝達方法の改善が重要である。内示情報や発注情報をどんな手段でいつ伝達するかを改善する。FAX、メール、郵送、EDIなど手段によって手間と期間が変わってくる。EDIなど今まで使っていなかった手段を実施するためにはサプライヤへの指導も必要となる。
開発部門では、設計図面の配布方法の改善がポイントとなる。最初の図面だけでなく、設計変更があった場合の伝達も重要である。設計変更情報を関係部署にどう伝達するのか、その手段やタイミングを改善する。さらにその情報が生産や調達の現場に的確に反映されるかも改善する。
営業部門では受注方法の改善が主体となる。営業社員が出先でコンピュータに入力する、EDIを利用する、受注センターを設置するなど受注情報を速く伝達するための改善を実施する。
改善対象を検討する時に有効なのが「3Lマップ」である。これは全社のモノと情報の流れを1枚の図にしたものである。リードタイム(Lead-time)、ロット(Lot)、職場階層(Layer)の3つの観点からタイミング、量、職場の役割の改善点を発見するものである。