第2章 5つのステップ別実施事項
(15)材料・仕掛在庫削減段階の改善活動:加工と運搬を3D化する
材料・仕掛在庫削減段階の改善活動は、在庫削減につながる個別の改善を実施する。各職場の加工と運搬を3D化(同期化・同量化・同時化)することで職場間の在庫を減らしていく。
まず加工の同期化のために製造日程の立て方を改善する。特に各職場の加工タイミングが重要である。前工程と後工程の間の標準リードタイム(手番)を見直す。標準リードタイムは過去の慣習で決めたものが、そのままになっている場合がある。運搬が1個流しになっていてトラブルに対する余裕が不要ならば、1個を運搬する時間があればよい。
加工を同量化するためには、加工ロットサイズの基準化が必要である。受注ロットサイズから決めるのが基本である。受注生産では、受注ロットサイズと各工程の加工ロットサイズを一致させるのが理想である。見込み生産ではボトルネック工程の加工ロットサイズを受注ロットサイズの平均値に近づける。そして各工程の加工ロットサイズを同じにする。
加工ロットサイズに影響するのが段取替時間である。個別改善段階で段取替時間を短縮しているが、さらに短縮すべき工程を抽出して改善を実施する。
加工を同時化するために、工程の見直しを実施する。例えば並列に製造できるユニットは、工程を並列化して加工できないかを検討する。
検査工程は加工工程と同様な考え方で改善を実施する。ハイテク製品を製造している工場では検査によってモノが停滞する場合が多い。検査ロットサイズの基準化、検査作業の段取替短縮、検査作業の並列化などを加工工程と同様に実施する。
運搬の同期化は、工程を連結することで達成するのが理想である。工程を連結するためには、工程配置の見直しや前後工程の勤務制を一致させるための改善が必要である。
運搬の同量化・同時化とは1個流しを実現することである。1個で運搬できる運搬方法・レイアウト・運搬頻度の改善が課題である。