第2章 5つのステップ別実施事項
(14)材料・仕掛在庫削減段階のデリバリー保証:在庫量をデザインする
材料・仕掛在庫削減段階のデリバリー保証は、職場間のモノの流れを3D化(同期化・同量化・同時化)の観点でデザインする。
製造企業ではモノの加工や組立に最大の関心がある。そのためモノの流れに対する関心が低い場合がある。例えば次のような状況はないだろうか。モノの流れのコストは気にするがタイミングは無関心。運搬は検討するが停滞は検討しない。ロットサイズは各職場のやりやすい量に決める。
こうした企業の在庫量はなりゆきで決まる。在庫停滞期間もなりゆきである。モノが出来上がるスピードはやってみないとわからない。
しかしモノの流れは、やる前からわかるのだ。同期化・同量化・同時化のレベルで決まってしまう。在庫量も同期化・同量化・同時化の観点からデザインできるのである。
「在庫形成要因マップ」は在庫量をデザインするためのツールである。在庫を要因別の基本要素に分解し、各基本要素に対応する理論値を計算して積み上げる。それを実績在庫量と比較して妥当性を検証するのである。長期滞留在庫と死蔵在庫には理論値がないが、それ以外は理論値で在庫の要因を分析できる。
在庫の要因は2つに大別できる。ひとつは見込み生産する場合に、後工程の需要が不確定なために同期化・同量化できないものである。もうひとつは、前工程のロットやタイミング都合で後工程と同期化・同量化していないものである。そして在庫形成要因マップを使うと次のようなことが可能になる。
・最も重要な要因から対策を検討できる
・工場設計時から在庫量を設定できる
・各職場に一貫した在庫基準を設定できる
下図は「在庫形成要因マップ」の例である。この例では加工ロットが在庫形成要因として最も大きく、次に納期未達対応であることがわかる。そして在庫を削減するためには、加工ロットと回答納期達成率をどういうレベルにしなければならないかも計算できるのだ。