第2章 サプライチェーンマネジメントの実践
2.3 B2C/B2B
(3)使い分けが必要なeマーケットプレース
eマーケットプレースは、商品・取引相手を見つけるインターネット上のwebサイトです。ネット上のオークションの形が有名です。B2C(消費者と流通業者・製造業者との間)にも、B2B(企業間)にも使われます。企業間では、完成品メーカーと流通業者の間、部品サプライヤーと完成品メーカーとの間、プロ用機器メーカーとその使用企業との間の取引が考えられます。
これには種々の形態が存在します。適切に使い分けなければ、期待した効果は出ないでしょう。マーケット形態から見ると次のように分類できます。
分類 | 取引方法 | 対象商品 | 売り手メリット | 買い手メリット | 例 |
逆オークション型 |
買い手の購入希望に対して、複数の売り手が、条件が折り合うまで販売価格を順次入札していく買い手主導の取引形態。 |
売り手が複数存在する商品 |
販売高向上、新規取引先開拓 |
大量にかつ低価格で調達 |
ゼネラル・モーターズ社のTradeXchange
フォード社のauto-exchangeAriba
CommerceOne |
オークション型 |
売り手が出品する商品に対して、複数の買い手が購入希望価格を順次入札する売り手主導の取引形態。 |
希少品、余剰在庫、中古の生産設備 |
死蔵在庫や休止設備の現金化 |
極低価格の調達 |
MetalSite |
エクスチェンジ型 |
複数の売り手と複数の買い手がそれぞれ希望する購入価格、販売価格を提示し合い、条件が合致すれば取引が成立する。 |
汎用性の高い商品や市況品 |
販売高向上 |
スポット的な調達 |
AltraやCheMatch |
ネゴシエーション型エクスチェンジ |
買い手と売り手が1対1で交渉していくプロセスが機能として提供されている形態。 |
汎用性の高い商品や市況品 |
販売高向上 |
スポット的な調達 |
e-STEEL |
カタログ・アクセス型 |
複数の売り手から集めたカタログの中から買い手が検索を行い、注文する形態。価格は固定されている。 |
商品の種類やアイテム数が膨大な業界 |
取引先の拡大 |
研究や試作用途の小ロット調達 |
PlasticsNetやChemdex |
製造業者からみると、次のようなことが言えます。まず売り手としての立場からです。売り手としてeマーケットプレースが効果があるのは、売り手が複数存在する商品、言い換えると汎用性の高い商品です。こうした商品ならばeマーケットプレースで買い手を探すことができます。反対に汎用性の低い商品、例えば特定の買い手の仕様で製造した部品などは、eマーケットプレースが効果を発揮しないのは明らかでしょう。
買い手としても、全く同じことが言えます。汎用性の高い商品ならば、eマーケットプレースで安価に調達できる可能性があります。しかしながら、買い手の図面に基づいて調達する部品などは、eマーケットプレースの効果はありません。自社で調達する部品や材料のうち、汎用性の高いものが占める金額が大きいならば、eマーケットプレースを積極的に利用したほうが良いでしょう。そうでなければ、新規取引先を選定、評価する労力の割に得られる効果は少なくなります。