第1章 デリバリー管理
1.4 全社的デリバリー管理 個別改善段階
(3)材料特性マップ
前項で紹介した「材料特性別発注」を実施するにあたり、材料の特性を把握することが必要です。材料の特性を把握できていないと、発注時に指定した納期通りに材料が納品されずに生産が滞ってしまったり、材料在庫が増えて材料の置場が不足したりして生産に大きな影響を与えてしまいます。
材料の特性を把握し、「材料特性別発注」を適用すれば、最小限の在庫量で必要な時に必要な量だけ材料を調達することができ、多大な効果につながります。
「材料特性マップ」は、材料の特性を一品別に把握し、それを類似の材料グループ単位で同一マップ上に示して、特性の違いをわかりやすく可視化する手法です。
具体的な例としては、図1.13のように、類似の材料グループに含まれる材料の特性を、一品別に、横軸に「調達リードタイム」、縦軸に「材料の共通性の大きさ」、○の大きさで「取引金額あるいは取引数量」、○の模様で「物量(重量あるいは大きさ)」を描きます。
そうすると、取引先や使われている工程の違い等の要因によって、異なる特性を示す材料が明確になり、材料決定に関する方針検討を行う際の基礎資料として役立てることができます。また、誰が見てもわかりやすくマップ化されているため、部門内・部門間を問わず関係者の認識の共有化を図ることができるというメリットもあります。
さらに、この手法は前述の特性項目以外の特性を把握して同様にマップ化することができるほか、材料だけでなく製品や取引先の特性マップとして幅広く応用することができます。