「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。業務を変えるアプローチは「つなぐ化」です。納期遅れの症状を見極めてポイントとなる業務と前後の業務のつながりを1点集中で改善していきます。
■満員型の納期遅れは生産余力の拡大が必要
納期遅れは3つのタイプに分類できます。そのうちの一つが「満員型」です。受注量が多く、納入量が追いつかないタイプです。時間とともに要望納期に対する遵守率が低下し、受注残が増加していきます。電車の車両が不足していて乗り切れない人がいる状態です。生産余力を拡大する必要があります。
人手の作業が中心の職場で生産余力を拡大するには以下のような方向があります。
(1)良品率を上げる
(2)主体作業の比率(稼働率)を上げる
(3)主体作業のスピードを上げる
(4)就業時間を延長する
(5)人数を増やす
このうち、最も良いのは(1)良品率を上げることです。業務にかかるコストを低減しながら余力を拡大できます。
次に有効なのは(2)主体作業の比率(稼働率)を上げる、(3)主体作業のスピードを上げることです。やり方によってはコストを上げずに余力を拡大できます。
(4)就業時間を延長する、(5)人数を増やす、は最後の手段です。余力は拡大できますがコストも増えます。
■主体作業のスピードを上げるには
稼働率を上げる方法は別項に示します。ここでは主体作業のスピードを上げる方法を示します。
人手の作業が中心の場合、手や足の動きを最小にすることが重要です。作業範囲を狭くすることによって余分な手の動きや歩き回ることが少なくできます。また作業範囲を狭くするためには余分なモノを置かなくなるのでモノを探す時間も短縮されます。
■作業範囲が広すぎる例
下の写真はある工場の梱包作業の例です。右奥に見えるダンボールをとってきて、右のコンベアから流れてくる製品を梱包し、左手前の台車に載せます。
この例では30秒サイクルの作業に対して12歩の移動が伴っています。1日600回繰り返すと7,200歩の移動になります。これは1日あたり77分に相当します。年間では260日繰り返すならば330時間となります。
この例では作業範囲を狭くすることによってサイクルタイムが短縮できます。
梱包作業の例
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