「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。時間・業務・組織という見えにくい対象を見える化しながら進めることが特徴です。
■全員参加の第一歩
「評価指標をきめておく」のは、業務を一流化するための第一歩です。生産清流化は「全員参加」で取り組みます。組織が向かう方向を言葉と数値指標で示すことが必要です。またどこまで到達できたかも数値指標で表すことが必要です。
納期に問題のある会社では納期に関する指標が整備されていないことが多い。野球でヒットが打てないと嘆くならば、まず打率を把握するのが普通です。納期も同じです。改善しようとしたら、まず「納期遵守率」「納入リードタイム」など顧客に直接関わる指標を設定することが第一歩です。指標に基づいて実態を知り、目標を設定する。それが全員参加の基盤となります。
■評価指標を決める
ポイントは評価指標の定義を明確にすることです。納期に関する指標が整備されていなかった会社では、定義を明文化したものはありません。定義を明文化し、厳密にしておかないと人によってカウント方法が変わってしまいます。
納期遵守率は、要望納期充足率と回答納期達成率の二つに分けて設定するとよいでしょう。要望納期充足率とは、顧客が要望した納期を、回答した納期が満たした比率です。回答納期達成率は、回答納期を実際の納入日が達成した比率です。
ここですでに問題があります。会社によっては「要望納期」「回答納期」「実際の納入日」が具体的にどこに記録されているのか特定できないことがあります。製品や顧客によって異なる場合もあります。まずここから決めないと充足率や達成率はカウントできません。
■計算方法を定義する
計算方法も決める必要があります。例えば回答日に対して前納した場合はどうするのか。達成なのか否なのか。分納した場合はどうするのか。分納して一部分だけ遅れた場合の達成率はどう計算するのか。こうしたルールも決める必要があります。
1件の注文書に複数アイテムの製品が記載されている場合があります。この場合、注文書全体が達成されたらOKとするのか、製品1アイテム単位に達成したかをカウントするのか。これも問題になります。
納入リードタイムを算出するにもルールが必要です。月曜日に受注したものを翌週月曜日に納入したら、リードタイムは何日でしょうか。受注当日を0日とするか1日とするかで答えは変わります。稼働日か暦日かによっても変わります。これも会社のルールとして定義しておく必要がります。
特急品件数なども重要な指標となります。これも「特急品」とは何かを定義しておく必要があります。
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