納期半減の生産清流化
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今日の視点2021
 2020年  2022年

2021/12/25 フェイクの国
 三菱電機は、2021年6月に長崎製作所での鉄道車両向けの空調機器に関する検査不正が発覚した。その後、ほかの拠点での検査の不正や設計ミスが次々見つかっている。12/23には鎌倉製作所のETC設備に新たな不正が見つかったと発表された。三菱といえば三菱自動車の不正が思いだされるが、2021年9月にはトヨタグループのレクサス販売店でも不正車検が発覚した。
 企業だけではない、2021年12月には国土交通省で建設受注統計の書き換え問題が発覚した。2018年末には厚生労働省の毎月勤労統計の不正データが発覚したが、統計を景気が良くなる方向に変える点、都道府県も加担していた点で、共通点がある。
 三菱電機の現社長である漆間氏は、2017-2019年には長崎製作所を担当する役員だった。表面的にみると、不正に加担すると出世するようにも見える。国のデータ改ざんも役人の出世がからんでいるように思える。そう思わせるフェイクの国から変わることはあるのだろうか。

2021/12/11 オリンピックの政治利用
 12/7、2022年の北京冬季オリンピックに対して、米国が人権上の懸念を理由に外交的ボイコットを表明した。選手は参加するが政府関係者は欠席するという。オーストラリア、イギリス、カナダが追随した。日本政府は対応を保留している。
 オリンピックは元来IOCと開催都市が主催者である。国が政治に利用するのは大いに違和感がある。この際、国家元首や政府関係者の参加を禁止したらいい。首相が開会式や閉会式のパフォーマンスに登場するなどもってのほかである。国旗の使用もやめればいい。東京オリンピックのロシア選手団を思い出すと、選手にとってはそれが本来の姿だろうと感じる。

2021/11/27 新型コロナ第6波
 11/26のニューヨーク株式市場は大幅に値下がりしたという。南アフリカでオミクロン株と呼ばれる感染力が強力な新型コロナの新たな変異株が見つかった影響だとされる。欧州では新型コロナの感染者数が過去最大になった国が続出している。一方、日本では新規感染者数は少ない状態が続いている。イベントの人数制限緩和や外国からの入国者の隔離日数が短縮などが行われた。
 さて、日本の新型コロナはどうなるのか。第6波は来るのか。「海外で起こったことは日本でも起こる」というのが、これまでの経験則である。身近な人流の拡大を見ると、この経験則があてはまるような予感がしている。幸い、ワクチンの重症化抑制効果はあるようだ。感染者が増えても、それが早期に発見され、隔離され、適切な治療が施されればいい。だがワクチン一本槍で、PCR検査や病床確保の体制に消極的な日本の医療体制に対する不安は払拭されない。

2021/11/13 EVはゼロエミッションか
 11/11の報道によると、気候変動会議COP26で2040年までに走行時にCO2を出さない「ゼロエミッション車」へ転換する宣言が出された。宣言に合意したのは国だけでなく米GMやフォード、独ダイムラーなど自動車メーカ6社も含まれるという。しかし日本、米国、ドイツ、中国の政府と日本のメーカは合意しなかった。
 走行中にCO2を出さない車の代表はEVである。だが走行中に出さないだけで、充電用の発電所がCO2を排出する。どの程度CO2が出るのか計算してみた。日産リーフ62kWhモデルの一充電走行距離は、WLTCモードで458kmである。走行100kmあたり13.5kWhとなる。ここに発電所のCO2排出量を加味する。環境省が公表している温室効果ガスの排出係数にある東京電力のCO2排出量0.000445tCO2/kWhを使うと、100kmあたり6.0sとなる。沖縄電力で計算すると9.8sとなった。
 ガソリン車ではどうか。日産ノートFモデルの燃費は、WLTCモードで29.5km/Lである。100kmあたり3.39Lとなる。ガソリンの排出係数2.32tCO2/kLで換算すると、100kmあたり7.8sとなる。リーフ+沖縄電力よりもノートのほうがCO2排出量は少ない。リーフは充電時のロスを考慮していないので、東京電力の場合もあまり差がないかもしれない。また製造時に排出するCO2はリーフのほうが多いと思われる。
 この計算は合っているのか?合っているとすると、日本の問題は発電所だ。

2021/10/30 衆院選の投票率
 10/31は衆議院議員選挙の投票日である。2000年代以降、投票率が低いことが問題とされている。そこで投票率はいつから低くなったのか調べてみた。総務省の「目で見る投票率(平成31年3月)」によると、衆議院議員選挙の最高投票率は1958年の76.99%である。衆院選は回によって投票率が上下するが、1990年73.31%が最後の70%台であった。1996年の小選挙区制導入後は50%台が多くなり、最低は2014年の52.66%だった。
 なぜ投票率が低いのか、総務省では継続的にアンケート調査している。最近ではネットでのアンケートもある。それによると投票しない主な理由は「忙しい」「投票したい人がいない」「関心がない」に集約されるようである。しかし「忙しい」のは表向きの理由であろう。高度成長期やバブル期の人々も忙しかったが投票率は高かった。「投票したい人がいない」も同様であろう。前出の総務省の資料には、地方選挙の投票率も記載されている。それによると市区町村議会議員選挙の投票率は、1951年の91.02%という驚異的な数字から、ほぼ一貫して低下し、2015年には47.33%と半減した。地方議員は候補者が多いにも関わらずこの数字である。
 私は「関心がない」というのが低投票率の最大の原因だと思っている。女性を含む普通選挙が実現したのは1945年である。まだ80年も経過していない。こうした参政権に対する歴史認識があれば、投票しないという選択肢はない。教育の責任が重大である。また自民党総裁選をあれだけ報道しておきながら、衆院選になると政見放送だけになるメディアの責任もまた重大である。

2021/10/16 生活インフラの保守と災害
 10/7に千葉県北西部を震源とするマグニチュード5.9の地震が発生した。東京と埼玉の一部で震度5強の揺れを観測し、一部地域で停電や断水が発生した。
 10/14にはNTTドコモの通信回線で全国規模の通信障害が発生した。影響があった回線は3G,4G,5Gのデータ通信と音声回線である。3G回線では、つながりにくい状況が1日以上続いた。原因は回線工事とされる。
 地震と通信障害は何の関係もないが、電気・通信・水道などの生活インフラの重要性をあらためて認識させられた。そういえば10/3には和歌山県で川にかかる水道橋が突然崩落して断水した事故もあった。わが国の生活インフラは老朽化が進んでいる。しかし保守は十分でないという指摘は繰り返しされてきた。行政や提供者の課題ではあるが、利用者も災害時にどうなるかを想定しながら使うことが必要なのだろう。

2021/10/2 新型コロナ感染の要因
 日本の新型コロナの感染者数は8月下旬に日あたり約25,000人を記録した。その後、急速に減少し、9月末には日あたり2,000人を切るレベルになっている。なぜ減少したのだろうか。様々な説がある。ワクチン接種が進んだためという説が多いようだが、ワクチン接種はまだ若年層では増えていない。その中で若年層中心だった夏の感染者が減ったのはなぜだろうか。
 私の仮説は「同窓会効果」である。これは人流の変化の一種であるが、特に帰省や旅行など日常と異なる人との接触機会の変化である。沖縄の離島が典型である。感染者がいない離島では、いつもの人と接触していても感染者はでない。感染者が増えるのは帰省者や旅行者が持ち込むか、島外へ旅行して感染した人が帰ってきて持ち込む場合である。日常と異なるグループと密に接触する機会の典型は、帰省、特に同窓会である。8月の夏休みの同窓会が第5波の主要因ではなかったか。その前の波はゴールデンウイークの後、正月休みの後であった。これも同窓会効果ではなかったのか。夏はクーラー、冬は暖房で換気が悪くなる。これも影響していると推測している。
 ワクチンは高齢者の死亡率低下には寄与していると思われる。だが、感染者減にはあまり寄与していないとすると、ワクチンパスポートの政策は危険かもしれない。

2021/9/18 気候変動の真因は
 8月9日、国連の気候変動に関する政府間パネルIPCCが、「人間が地球の気候を温暖化させてきたことに疑う余地がない」とする報告を公表した。そして今世紀末までに海面水位が2m上昇する可能性もあるとした。様々な研究から、CO2を代表とする温室効果ガスが地球温暖化を招いていることは確からしい。だがその原因が人間の活動によるものかという点には異論も存在する。
 南極の氷を掘り下げて得たサンプルから、過去数十万年間の気温、海水温、CO2濃度がわかるという。日本、ロシア、欧州チームなどが南極の各地点で氷床コアと呼ばれるサンプルを掘り出して研究している。日本では東京大学東北大学滋賀県立大学などが、過去約70万年の気候変動を研究している。それによると約12万年前に気温とCO2濃度はピークを迎え、その後下降局面にはいった後、約2万年前から上昇局面となっている。この上下の動きには人間の活動の影響はほぼない。あるとすれば上昇局面の最後の200年間だけである。さらにこの気温と海水温の上下は約10万年の周期で何度も繰り返されていることがわかっている。
 気候変動の影響を減らそうとする目的は正当だとしても、その対策は正しい原因認識に基づいていないと的外れになる恐れがある。

2021/9/4 今夏の電力消費(再改訂)
 今夏の東京電力管内のピーク消費電力は、8月第1週に気温の高い日が続き、8/5に5,453万kWを記録した。その後、8月第2週は、お盆休みや長雨があったことで電力消費が減り、8月第3週もさほど増えなかったため、8/5が最高だろうと思っていた。しかし8月第4週に高気温が戻り、8/26に5,665万kWを記録した。この日の供給力は6,157万kWで負荷率は92%であった。
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2021/8/21 今夏の電力消費(改訂)
 今夏の東京電力管内のピーク消費電力は、梅雨明け3日後の7/19に5,407万kWを記録した。しかし、東京オリンピック後半の8月第1週に気温の高い日が続き、8/5に5,453万kWと最高を記録した。この日の供給力は6,056万kWであり、90%の負荷率だった。
 8月第2週は、お盆休みや長雨があったことで電力消費が減った。8月第3週は後半から晴れが増えたが、ピーク電力は8/20の5,071万kWが最高であった。
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2021/8/7 余力なき行政の恐怖
 8月3日、政府は新型コロナウイルスの中等症患者を自宅療養とする方針を発表した。これは方針などではなく新型コロナに対する敗北宣言であろう。実際、8月5日には、東京都で新型コロナウイルス陽性者が5,042人確認され、1日の感染者が初めて5,000人を突破した。自宅療養とは名ばかりで、入院したくてもできない人が増えている。
 こうなった原因は、特定の個人の願望や希望的観測に基づく政策決定にあると考えている。願望に基づくと、悪いケースを想定した余力を持たなくなるのだ。PCR検査の余力、緊急病床数の余力、ワクチンの調達余力など、結果的に必要だった余力が不足したままの1年半が経過した。
 私は昔、役所の人数が多いと感じること多かった。しかし東日本大震災以降は、緊急事態に備える余力と考えることにした。待ち行列理論によると、窓口の稼働率が70%を超えたあたりからサービスを待つ人の数が急激に増える。行政サービスも同じである。空車ゼロの救急車、火事の現場をハシゴする消防車、スクランブルから帰るヒマのない自衛隊機を想像してみれば怖さがわかる。

2021/7/24 今夏の電力消費
 7/16に関東地方が梅雨明けした。今年は梅雨明けが早かった。7/19の月曜日に東京電力管内のピーク電力消費は5,407万kWを記録した。7月は夏季休暇に入っている企業は少ないので、気温の割に消費電力は多くなる。この日の供給力は5,771万kWであり、93%の負荷率だった。
 今のところ新型コロナや東京オリンピックが電力消費に及ぼす影響はよくわからない。
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2021/7/10 名は願望を表わす五輪
 東京にコロナの第5波がやってきた。東京では3回目の緊急事態宣言が4/25に始まり6/20に解除された。だがその後、東京の感染者は増加に転じ、3週間後の7/12から4回目の緊急事態宣言が出されることになった。
 一方でオリンピックは、なし崩しに開催へ向かって進んでいる。しかし6月後半以降でも選手の欠場表明が相次いでいる。 次のような状況である。
 6/17 R・ナダル(スペイン 男子テニスで世界ランク3位)が東京五輪欠場を表明
 6/22 鈴木雄介(日本 50キロ競歩五輪代表)が出場を辞退 コンディション不良が理由
 6/27 セリーナ・ウィリアムズ(米国 女子テニスの元世界ランク1位)が東京五輪欠場を表明
 6/30 サモア国内にいる重量挙げの選手3人の東京五輪不参加を閣議決定
 7/9 ニック・キリオス(オーストラリア 男子テニス)が不参加を表明
 実際、バブル方式と呼ばれる五輪のコロナ対策は、穴の開いた風船であることが判明し、関係者から感染者が見つかっている。次のような調子である。
 6/19 ウガンダ選手団の1人が羽田空港の検疫でコロナの陽性が判明
 6/24 ウガンダ選手団で2人目のコロナ陽性者が判明
 7/4 セルビア選手団の1人が羽田空港の検疫でコロナの陽性が判明
 7/5 選手村スタッフの2人にコロナの陽性が判明
 7/9 リトアニア選手団の1人が事前キャンプ先の平塚市でコロナの陽性が判明
 7/9 イスラエル選手団の1人が羽田空港の検疫でコロナの陽性が判明
 2020東京オリンピックは、私が記憶するかぎり「世界一お金のかからない五輪」「復興五輪」「コロナに打ち勝った証しの五輪」「安心安全の五輪」と呼ばれてきた。「安心安全の五輪」は今でも言っている人がいる。だが、振り返ると、どれも推進者の願望に過ぎなかったことがはっきりした。もともと標語というのは願望であることが多い。危険の多い職場ほど「安全第一」という標語が掲示されているものである。

2021/6/26 モンゴルの教訓
 モンゴルで新型コロナの感染増が起こっている。モンゴルは人口329万人、18歳以上204万人とされる。同国は新型コロナの発生以来、10カ月間は感染者ゼロ、その後2021年2月までは日あたり感染者数は数名〜数10名で推移してきた。世界の中でも感染抑止の点でトップグループにあった。
 しかし2021年3月に入り感染者数が増加、4月9日には感染が多い首都ウランバートル市でロックダウンが開始された。4月30日には感染者数1,356名で第1波のピークを記録したが5月8日に日あたり1,000名以下まで減少し、ウランバートル市の警戒レベルは引き下げされた。だが5月18日の512名を底として再び感染拡大が始まった。6月18日には感染者数2,746名で第2波のピークを記録した(参考サイト)
 ここまでは他の国でも見られた話である。だがモンゴルの問題はワクチンにある。ワクチン接種が進んでいないという話ではない。接種が進んでいるのである。5月14日の報道によると、モンゴル政府は「18歳以上の国民全員のワクチン接種を目指す。必要なワクチンは420万回分で、既に200万回分を確保した」と表明している(参考サイト)。調達したのは主に英アストラゼネカと米ファイザーのものとされる。実際に6月25日までにワクチン接種回数は365万回、18歳以上100人あたり179回に達している(参考サイト)。それにも関わらす感染の波が来たのである。ワクチンに過度の期待は禁物というのがモンゴルの教訓である。

2021/6/12 東京ローカル運動会への道
 東京五輪はアルマゲドンでもない限り実施という方向に突き進んでいる。今日現在で開幕まで39日である。開会式に先立つ7月21日に女子サッカーが始まるからである。しかし開催されたとして果たしてオリンピックと呼んでよいものか疑問である。
 国によって新型コロナに関する条件は異なっている。したがって、すべての国や出場者にとってフェアな状態ではないということである。実際に辞退が出てきている。新型コロナと関係なく出場停止となっているロシアは別にしても、辞退を表明している国・チーム・個人は今のところ以下のようになっている。
 2/26 ニュージーランドのバスケットチーム、トールブラックスがオリンピック予選出場を辞退
 3/14 アメリカのダスティン・ジョンソン(ゴルフ世界ランキング1位)が出場しない意向を表明
 4/6 北朝鮮が出場辞退
 4/23 オーストラリアの飛び込み選手団が最終予選を辞退
 5/7 カナダの体操代表選手団が最終予選を辞退
 5/7 中国の野球チームが最終予選を辞退
 5/17 カナダのエリック・ラメーズ(馬術障害飛越のメダリスト)が代表選考を辞退
 5/22 野球の最終予選開催地が台湾からメキシコに変更
 6/3 台湾の野球チームが最終予選を辞退
 6/8 アフリカ陸上競技連盟が東京五輪予選を兼ねたアフリカ陸上選手権を中止
 6/9 オーストラリアの野球チームが最終予選を辞退
 特に野球の辞退が目立つ。ただでさえマイナースポーツの野球だが、参加チームが減ると日米親善試合に近づきそうだ。辞退が増えれば東京ローカル運動会に成り下がるが、どうか選手の記録の改ざんや廃棄だけはしないで欲しい。

2021/5/29 ウッドショックへの対応
 いま国内で木材不足・価格高騰が起きていると聞いた。調べてみると供給側、需要側それぞれに要因があるらしい。供給側としては、カナダで虫害が発生し減産していたという。令和元年度森林・林業白書によるとカナダは2018年の製材輸出量第2位の国である。
 需要側の要因としては、コロナ禍のアメリカで一戸建て住宅の需要が増えたことが挙げられている。米国は2018年の製材輸入量第2位、合板輸入量第1位である。そしてコロナからいち早く回復した中国の経済成長も大きな要因とされている。中国は2018年の産業用丸太の輸入量第1位、製材輸入量第1位、合板輸出量第1位である。
 日本国内の要因としては、輸入物流の船便・コンテナ・人員の不足があるという。さらに長期的な要因として、日本の購買力低下もあるとされる。購買力低下によって、輸入材を買い負けており、そのため国内価格がさらに上がっている。
 対策としては、国内産材の活用ということになるのだろう。しかし林業は植林からはじめると数十年かかる。短期視点の政治や経済運営では対応できない課題である。

2021/5/15 三菱航空機が減資
 4月29日の報道によると、三菱航空機が3月に減資したという。資本金1350億円、資本準備1350億円を、それぞれ5億円とゼロにした。減資によってスペースジェット(MSJ)事業の累積損失の一部を穴埋めした。
 2020年秋にはMSJ事業の凍結が発表されているが、今回の減資で事実上の撤退であることがさらにはっきりした。だが関係者は、ほっとしている面があるのではないか。撤退がコロナ禍を理由にできるからである。さらに、航空産業全般が大打撃を受けている状況なので、三菱の失敗が目立たない。
 インパール作戦から福島第一原発に至るまで、国が後押ししたプロジェクトでは「リスクを想定してはいけない」という強い信念が原因で、大損失に至ったものが多い。スペースジェットもこの例に加わった。まもなく東京オリンピックが続く。

2021/5/1 ワクチン接種のペースその後
 4月26日の報道によると、政府は新型コロナウイルスの大規模ワクチン接種会場を東京と大阪に開設するという。東京会場では5月24日から1日1万人、3ヶ月で90万人の接種を目指す。埼玉、千葉、東京、神奈川の高齢者を主に対象とし、ワクチン接種を市町村任せにしない姿勢を示した。
 だがこれは「努力しました」というアリバイづくりの臭いがする。1日1万人というと大規模に感じるが、合計90万人といってもひとり2回接種するなら実質45万人ぶんである。1都3県の65歳以上の人口890万人に対して5%でしかない。しかも1日1万人を「目指す」とした目標が達成された場合である。
 時期設定もうさん臭い。5月24日の3カ月後はオリンピックが終わり、パラリンピックが始まるころである。IOCのバッハ会長の報道は多いがIPCのパーソンズ会長の話は報道されない。パラリンピックはどうなっているのか。さらに1カ月後には菅総裁の任期が切れる。目くらましのイベントに隠そうとしているのは何だろうか。

2021/4/17 人工変異ウイルスの可能性
 政府はなかなか認めないが、新型コロナウイルスの流行が第4波に入った。特にイギリス型の変異ウイルスN501Yが増えている。実効再生産数が従来のウイルスより1.3倍高いため急速に主流になりつつある。関西では今や新規感染者の80%を占めるという。
 感染しやすい型が増えると感染しにくい型が駆逐されるとするならば、人工変異ウイルスで集団免疫を獲得するという方法はないのだろうか。ほとんど無毒だが非常に感染しやすい変異型を人工的に作るのだ。遺伝子組み換えウイルスは技術的に可能なようだ。受託生産している企業もある。ただし増殖可能なウイルスに対する遺伝子組み換えは、法令で禁じられている模様だ。
 もし法令をクリアできたとしても人道上の観点から治験が困難だろう。特に期待していない副作用を持つ人工変異種が広がった場合、人類だけでなく鳥類や哺乳類にも壊滅的な影響が出る。

2021/4/3 進まないワクチン接種
 わが国の新型コロナのワクチン接種はスピードが上がらない。開始タイミングが遅かったうえに進行スピードも遅い。日本経済新聞社のサイトが世界の接種状況を公表している。4月2日現在の国別の人口100人あたり累計接種回数を見てみよう。1位はイスラエル110.8回である。以下UAE85.0回、チリ55.2回、英国53.5回、米国45.3回と続く。
 アジアではパラオ74.3回、ブータン49.7回、シンガポール23.1回、中国8.6回、インド4.8回、インドネシア4.3回、韓国1.7回となっている。日本は大きく遅れて0.8回である。ミャンマー0.7回、フィリピン0.5回と同程度に留まっている。なお世界の人口100人あたりでは7.8回である。
 接種するにはワクチンの確保だけでなく、注射器、冷凍庫、会場、医師、看護師など様々な資源の確保が必要である。ロジスティクスが下手な国には難題である。接種率が上がらない国は、人類全体の集団免疫獲得の足かせとなる。接種率の低い国の政治家は「人類が新型コロナに打ち勝った証」などと口にする権利はないと思う。

2021/3/20 ワクチン接種のペース
 東京都八王子市は4月12日から65歳以上を対象とした新型コロナワクチンの接種を開始すると発表した。一般向け接種では都内で世田谷区とならんで最も早いという。予約は4月5日からネットまたは電話での先着順とされている。「ネット予約は高齢者にとって敷居が高いのでは」「電話予約がつながらないのでは」「先着順はいかがなものか」という街の声があるという。
 だが私が注目しているのが、人数である。市のホームページによると、4月中の接種は8日間、合計1900名の予定である。週あたり約1000名のペースである。もしこのペースが続くと仮定すると、八王子市の高齢者16万人が2回接種を終えるのに320週かかる計算になる。もしペースが10倍になったとしても32週である。さて八王子市の人口58万人に対して接種が終わるのはいつなのだろうか。

2021/3/6 非正規雇用という名の分断
 働き方改革の議論に加わる機会があった。そこで疑問に思ったのは「非正規雇用」という呼称である。もともと正社員というのは法律上の用語ではないという。したがって非正社員や非正規雇用というのも法律上の用語ではない。だが一般的には以下のように分けられている。
区分正規雇用非正規雇用
契約フルタイム 無期限パートタイム 有期限
勤務休まない 時間外勤務を厭わないことで上司に忠誠を誓う勤務形態選べる 上司に忠誠を誓わなくてよい
待遇高賃金 賞与あり 社会保険あり低賃金 (場合によって)社会保険なし・賞与なし
 どうしてこのような分け方が定着したのだろうか。原因は、正規非正規で分断したほうが都合のよいビジネス、つまり独自性と付加価値が低く、価格で競争するスタイルにあるのではないか。低賃金を武器に先進国の模倣を習い性としてきた戦後の日本企業に多くみられるスタイルである。そこにおいて労働力は付加価値の源泉ではなく単なるコストである。非正規の名のもとに「あなたは単価が安くて当然」とする風潮を作ってきた。一方、正社員には優越感を与える代わりにサービス残業などで実質単価を下げさせるのである。
 原理的にはパートタイムで有期限の高賃金社員というのもあり得るのだが、独自性と付加価値の高いビジネスが前提となる。日本型ビジネスからの脱却なしに働き方改革はできないのではないか。

2021/2/20 竹槍で臨むワクチン接種
 2月17日、日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種がはじまった。医療従事者から始まり次に高齢者という順序となる。だがすでに注射器が原因で1瓶6人接種できるはずが5人しか接種できないという問題が発覚している。個人的にはこれからも資材、人員、場所の調達に関する問題が噴出することを予想している。
 政府がやることはロジスティクスに問題がある。アベノマスクの配布を振り返ると2020年4月14日から妊婦向けに配布開始され、6月15日に96%の配布が終わったとの発表があった。配布だけで2ヶ月以上、調達期間をプラスすると3ヶ月以上を要している。
 情報処理の問題はロジスティクス以上である。今月、接触確認アプリCOCOAの問題が4カ月放置されていたことが発覚した。感染者の集計はいまだにFAXであるようだ。ワクチン接種人数を集計するだけで混乱することが予想される。前線の物資、人員が不足し、情報交換もままならないまま戦闘に臨むのは旧日本軍の特性を引き継ぐ伝統芸となっている。敵の脅威ではなく味方の不備による犠牲者がでないことを祈る。

2021/2/6 東京オリンピック・パラリンピックの撤退戦
 2月3日、JOCの森会長の女性蔑視発言があった。その影響は国内のボランティア辞退者続出に留まらず海外でも時代錯誤の代表者として日本の後進性をアピールする結果となった。東京オリンピックの撤退戦はいよいよインパール作戦クラスになってきた。
 中止するとなると最後は主催者が決定することになる。これまで私は東京オリンピックの主催者は東京都であり、都が決定すれば済む話だと思っていた。だがよくよく調べてみると違うようだ。主催者はIOCとの説がある。小池都知事も新年のラジオ番組出演で「主催はIOC、東京はホストシティ」と発言している。そうなると話はややこしい。IOCとその下請けであるJOCにとって中止のメリットは何一つない。現地の被害がいかに甚大でも開催一択である。現地民の選択肢としては海外司令部の指示に従って玉砕するか、司令部に対してクーデターを起こすかの選択となる。ついでに言うとパラリンピックのほうは国際パラリンピック委員会(IPC)なので指揮系統が異なる。
 そうこうしているうちに他国のボイコットや選手個人のボイコットが出てくる可能性もある。すでにロシアは参加しないことが決まっている。東京オリンピック・パラリンピックは実質的に東京ローカル運動会となって国際的にはひっそりと実施されることになるかもしれない。

2021/1/23 スペースジェットの撤退戦
 1月8日の報道によると、スペースジェットに関して米国航空機リース会社のエアロリースから受注していた20機がキャンセルになったという。これまでに受注は最大447機まで伸ばしていたが、相次ぐ納入延期でキャンセルは合計160機となった。現時点で受注残は287機である。
 スペースジェットの損益分岐点となる販売台数には諸説あった。2015年頃には500機程度という説が多かった。その後、納入延期で開発費が膨らみ、2017年頃には損益分岐点が1000-1500機という見方になった。現時点ではさらに損益分岐点が上がっているだろう。
 損益分岐点を上回る可能性がほとんどなくなった時点で、これまでの開発費を埋没費用と考えた撤退戦略が必要である。現在、開発凍結としているのは妥当と思う。ただし、凍結になった2020年10月は遅きに失した感はある。関係者の面子や願望や国の威信がブレーキの効きを弱めたのだろう。インパール作戦から東京オリンピックに至るまで、日本は撤退戦が苦手である。スペースジェットもそのひとつに加わるだろう。

2021/1/9 ニューノーマルは幻想か
 1月7日、新型コロナウイルスに対する非常事態宣言が発出された。感染者の増加要因は単純に言えば人の接触が増えたためであろう。人と会いたいという欲求は感染症が流行しても簡単に変えられないのではないか。
 20万年前にアフリカでホモ・ハイデルベルゲンシスからホモサピエンスが分化する前から人類は集団で生きてきた。だが最後に残った人類の中でネアンデルタール人が絶滅し、ホモサピエンスが生き残ったのは、ホモサピエンスのほうが集団の人数や集団間の交流が多かったからという説がある。交流がモノや技術の高度化につながったということである。
 バーチャル〇〇やリモート〇〇を実際に経験してみると、ITが人間の認知の一部を代替してくれることがわかる。ただしほんの一部でしかない。バーチャルを経験すればするほどリアルなモノの触感・匂い、人の全身の動きや複数の人が協調して動く様の情報がいかに濃密であったかを思い知らされる。ライブステージや競技場に行く人が絶えないのは濃密なリアル体験を求めているからだ。
 100年前、スペイン風邪が流行った時の写真を見ると、日本人も欧米人もマスクをしている。しかしその後、毎日マスクをしている人はいなくなった。1年前までは。パンデミックを契機に変わること/変わらないこと/終われば元にもどることがある。それを見極める必要がありそうだ。

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