第2章 5つのステップ別実施事項
(5)個別改善段階の改善活動:資材調達方法を見直す
個別改善段階の改善活動は、職場内のモノの流れに影響する改善を各部門で展開する。生産部門では、3D化(同期化・同量化・同時化)の視点から各職場内のモノの移動経路や運搬方法、工程内のモノの整理整頓などを進める。どの職場でも段取替時間の短縮は必須となる。
調達部門では部品や材料などの資材調達方法の見直しに取り組む。調達部門の必須事項である。資材調達は生産行為の出発点だからだ。調達部門だけでなく生産部門のモノの流れに大きく影響する。必要な時に必要な部品や材料が揃わないと納期に間に合わない。それだけではなく、生産部門の工数が大幅に増加する。
一種類の調達方法ですべての資材を調達することはできない。資材によって調達リードタイム・共通性・金額・物量などが異なるからである。こうした資材の調達特性に応じていくつかの調達方法を使い分ける。
まず「材料特性マップ」で資材を調達特性の面から分類する。例えば調達リードタイムが10日以内ならば見込みで調達しなくても間に合うとしよう。下図の例では左上の領域にある資材Aは調達リードタイムを短縮する必要はない。しかし購入額が大きいので、共通化によって品目数を減らし、単価の低減を検討する。
左下の領域にある資材Bと資材Cも調達リードタイムを短縮は必要ない。ただし品目数が少ないので消費は安定している可能性が高い。長期契約することで単価が下げられないかを探索する。
右上の領域にある資材Dは、調達リードタイムが長く種類が多い独自部品である。リードタイムの短縮が必須である。それには、生産計画情報を共有化して内示と確定発注を使い分けることが有効である。
右下の資材Eと資材Fは種類が少ないので見込みで調達し、在庫を持つ方法も考えられる。しかしながら資材Fは物量が大きいので在庫スペースの点から調達リードタイムを短縮することが望ましい。