第2章 5つのステップ別実施事項
(4)個別改善段階のデリバリー保証:現品管理をデザインする
個別改善段階のデリバリー保証では、部品・仕掛・製品の現品管理の業務をデザインし直す。方針管理で目標にした在庫精度を上げようとすると個別の改善だけでは不十分である。在庫管理の基盤となるモノの取り扱い方法を根本から見直す必要性があるのだ。
部品・仕掛・製品を扱う部署はそれぞれ違う。しかし現品管理の業務デザインは、全社横断的に共通した考え方で取り組むべきである。業務デザインとは、業務を段階別に細分化し、その手順を決めることである。現品管理の業務デザインも、現品を取り扱う業務を細分化して各段階の手順を決めることになる。
現品の取り扱いには、まず計数・計量が伴う。ひとくちに現品といっても良品・不良・ロスなど様々に区分される。そのどれを計数・計量の対象にするのかを決める。直接計測できるものもあれば、投入数と良品数から間接的に計算されるロス量といったものもある。その手段を決めることが必要である。
次に現品を識別するために現品票を発行して添付する業務がある。現品票の発行方法には手書きやコンピュータ利用が考えられる。転記の有無によってミスの可能性が変わる。さらに現品に添付するタイミングと手段によってもミスの発生頻度が変わる。
輸送・運搬の業務では、容器・パレットを使うのかが問題になる。さらに、コンベアや台車などの輸送方法を決める。
保管の業務では保管場所の整頓状況が問題である。保管場所が白線や棚で区画が決められているか、所番地が表示されているかが重要である。それによって必要なものがすぐ出し入れできるかが大きく左右される。
現品の保管に伴って入出庫情報と在庫情報を処理する業務がある。入出庫伝票を発行するタイミングと手段、在庫情報を更新するタイミングと手段を決める。もちろんコンピュータの利用を検討する必要がある。さらに棚卸の業務も手順を決める。