第2章 5つのステップ別実施事項
(1)個別改善段階の創発活動:先進企業を知る
「創発活動」は、業務の流れやそのレベルを経営トップや幹部が共通に認識するのが目的である。それによって方針管理を補強する。個別改善段階の創発活動で最も重要なことは、スピードアップが自社の事業に必要だということを経営トップが実感することである。それは論理的に理解するだけでなく、実現可能性と効果を感覚的にも理解する必要がある。
一番効果的なのは「先進企業見学」で実例を見ることである。自社で抱える問題点をすでに解決している事例を知ることで、「やればできそうだ」「やれば効果が出る」ということを実感する。同時に管理者・監督者層も参加すれば、目指す姿の共有化が図れる。
見学する場合、改善された姿を「素晴らしい」と眺めるだけでは不十分である。改善された姿に至るまでの経緯や改善する必要があると考えた契機や背景を確認することがポイントである。どのような努力を行ない、どのような失敗を重ねて今日に至ったかを知ることが重要なのだ。
次に職場内のモノの流れを改善する組織を編成する。改善対象が職場内なので通常組織に準じた編成となる。例えば営業部・生産部・開発部・総務部といった単位でチームを編成する。各チームで今までにないスピードアップ目標に対して取り組むことが通常組織と違う点である。
これを「部門チーム活動」と呼ぶ。部門長がリーダーとなって指揮をとる。そして各部門の精鋭をメンバーとすることで、素早い問題解決を目指す。
部門チームは単独で活動するだけでなく、その活動を相互に理解しておくことが必要である。職場間の問題に取り組む段階になった時に相互理解が基盤となる。
「部門管理盤」は各部門のスピードアップに対する取り組み内容やその結果がどう推移しているかを示す掲示板である。活動内容と進捗状況の一覧表や評価指標のグラフを掲示する。そして各部門がその内容を相互に紹介し現場を見学するイベントを定期的に行なう。