納期半減の生産清流化
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製造企業のデリバリー管理とSCM
第1章 デリバリー管理
1.3 デリバリー管理実施上の障害と全社的デリバリー管理
 (6)5つの活動と5段階の展開ステップ

 TDMの5つの活動は、独立ではなく相互の関連があります。その関係を図1.6に示します。

 商品やサービスのデリバリーに直接影響しているのが、企画・開発・製造・販売など企業内の各プロセス、各階層における「デリバリー保証」です。そしてデリバリー保証活動に対する改善の方向づけをしているのが「方針管理」です。実際の改善の原動力となっているのが「改善活動」です。

 この3つが中心となる活動です。さらに「創発活動」と「評価制度」は方針管理を支援する活動と位置づけられます。「創発活動」で現状を知り、ビジネスプロセスの目指す姿を描きます。そして「評価制度」で現状のレベルを測定するとともに、現場の抵抗感をなくして改善を誘導します。

 このふたつの活動あって初めて「方針管理」の活動が有効に機能します。つまり、目的・方針を明確にするために「創発活動」と「評価制度」があるのです。

 次にTDMを展開の時間軸から見てみましょう。TDMは、図1.7のような5段階のステップで展開します。

 最初の段階は「個別改善段階」です。デリバリー問題は、部門にまたがる要因や順序制約などが絡み合っていることが多いため、一足飛びの解決は困難なことが普通です。まず部門内の問題を個別に改善することで、関係者が改善効果を少しずつ実感しながら、大きな問題の構造が確認できるように見通しを良くすることが必要です。

 この段階は全社的な問題に取り組むための基盤として在庫精度向上・5S・省スペース化・短ルート化・ライン化など、目で見えるモノの改善を重点に取り組みます。図1.8に示すように、モノを扱う個別のプロセスに着目して各職場をレベルアップします。

 ステップ2は「納期遵守段階」です。ステップ1で個別改善が進んだ状態で次に目指すのは、約束した納期を守ることです。受注生産形態ならば、お客様に約束した納期と数量を守ることを最大の目標とします。図2.10のように納期情報を扱うプロセスに着目して改善を進めます。

 見込生産形態ならば、生産計画の日付と数量を守ること、あるいは営業部門に対する工場の回答納期達成率の向上が目標です。開発部門ならば、量産設計図を出図する期日を守ることを目標にします。また、各工程で設定した日程計画の日付を守ることも重要です。約束した納期を守ることによって、お客様や後工程の信頼を得るのが狙いです。

 次のステップの材料・仕掛り在庫削減段階とその次のリードタイム短縮段階では、モノの流れ、情報の流れの同期化・同量化がポイントになります。その段階ではお客様との間や工程間、部門間の信頼関係が基盤になりますから、このステップでその信頼関係を築きます。

 ステップ3は「材料・仕掛り在庫削減段階」です。ステップ2で約束した納期が守れるようになったら、次の段階は工場内の材料・仕掛り在庫を削減することを目標とします。ステップ2では納期という情報の流れから改善すべき事項を抽出しましたが、ステップ3では再びモノの流れから改善を進めます。

 しかしこの段階では個別のプロセスではなく、図1.10のようにプロセス間の連動に着目します。 前ステップで築いたお客様や後工程の信頼を基盤として、前後プロセスの同期化・同量化を進めます。このステップでは部門間の連携が非常に重要になります。

 ステップ4は「リードタイム短縮段階」です。ステップ3で材料・仕掛り在庫を削減したら、次の段階は受注生産形態ならば、お客様から受注してから納品するまでの期間を短縮することを目標とします。

 見込み生産形態ならば、生産量の検討を開始してから営業倉庫に入庫するまでの期間、あるいは材料の調達を開始してからその材料を使った製品を営業倉庫に入庫するまでの期間の短縮を目標とします。開発部門ならば、開発に着手してから量産設計図を出図するまでの期間短縮が目標です。

 ステップ3ではモノの流れから改善を進めましたが、リードタイムを短縮するにはモノの流れだけでなく、情報の流れを改善する必要があります。このステップでは、図1.11のように事務プロセスに着目し、情報の流れの同期化・同量化を進めます。

 最後の段階は「製品(流通)在庫削減段階」です。顧客からの受注生産形態をとっている企業はステップ4で終わりです。しかし見込み生産形態をとっている企業では、製品在庫あるいは流通在庫の削減が残っています。これを削減するのがこの段階です。

 進め方は基本的にステップ3の「材料・仕掛り在庫削減段階」と同様です。しかしながら対象は図1.12に示すように卸業者や小売業者も含めた範囲です。

 会社間でビジョンを共有化し、それぞれが役割を実行することが大切です。

 以上のように、 TDMは5つの活動が5段階のステップを踏みながら実行されていきます。全社的なデリバリー管理を5つの活動を通して5つのステップで推進するメリットは、以下のような点です。
 ・デリバリー改善に必要な活動を、不足なく実施できる。
 ・出発点・途中・到達点の業務レベルを意識しながら進められる。
 ・結果として着実に効果が出せる。

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