「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。組織革新を進めるには個人のレベルアップが欠かせません。そのキーワードは「学ぶ化」です。改善を習慣化することで個人の心と技を変えていきます。
■改善と時間に関する意識の特性を知る
改善を習慣化しようとしたとき、人間の意識が障害になることが多いものです。何かを変えようとしたときに人間の意識にはバイアスがかかります。また時間に関する認識にもバイアスがかかります。こうした意識の特性を知って改善に取り組むことが効果を上げるポイントです。
■人間は変化を嫌う
基本的に人間は変化を嫌う特性があります。行動経済学では「現在志向バイアス」あるいは「現状維持バイアス」と呼ばれるものです。経済学風に言えば「将来の大きな利得を過小評価する」のです。例えばガソリン代が節約できるハイブリッド車でも補助金をつけないと売れないというのは現状維持バイアスの例です。また将来の健康よりも目先の満足感を求めてタバコを喫うというのもこの例でしょう。
これは人間に限った特性ではないでしょう。動物全体に当てはまります。論理的な損得判断よりも本能的な判断が優先される結果でしょう。動物は基本的に変化を好みません。生命が脅かされない限り住むところや食べるものを変えないほうが安全だからでしょう。
しかし動物の生活と人間のビジネスは異質の世界です。ビジネスの世界に、動物的な本能はじゃまをしていることを意識することが必要です。
■やる気はあとからついてくる
「モチベーションが上がらないと仕事ができない」ということを聞くことがあります。しかし心理学の研究結果のよると、これは単なる言い訳であるとされています。心理学によると、人間は意欲があると行動するのではなく、行動しているうちに意欲が出てくるとされています。「モチベーションが上がらないと・・・」というのは単に現状維持バイアスから発せられる言葉でです。まず行動することです。
■こまめに変える
変化を嫌う本能を抑えて改善という変化に慣れるには「こまめに変える」ということが肝要です。大きく変わるのは抵抗感があっても小さくこまめに変わっていくのには抵抗感が薄くなります。「アハ体験」というのをご存知でしょうか。画像の一部が徐々に変化していくものです。漫然と見ているとどこが変化しているのかわかりません。わかった場合には脳が活性化されるというものです。画像の変化を徐々にではなく一気に変えると、変化がわかりやすいのですが、違和感だけが残ります。
少し違う画像(右目でみたもの左目で見たもの)
■仕事以外でも変えてみる
変化への抵抗感を減らすには、仕事以外の生活でも小さな変化を取り入れてみるとよいでしょう。部屋のレイアウトを変える、食事のメニューを変える、服の色を変えるなど変えられる要素はいくらでもあります。こうした身近な変化を経験することが仕事での変化、つまり改善に対する積極姿勢につながります。
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