「生産清流化」は、製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に対応できるスピードを獲得します。組織革新を進めるには個人のレベルアップが欠かせません。そのキーワードは「学ぶ化」です。ひとりひとりの行動作法を習慣化することで個人技を向上していきます。
■約束を守る
個人技を上げるには、個別のスキルを上げる以上に仕事に対する倫理観を上げることが重要です。倫理観なしにスキルだけ上げても効果はありません。
では仕事に対する倫理観とはどうやって上げるたらよいのでしょうか。倫理観の基礎にあるのは仕事の約束を守ることです。特に納期を守ることが第一歩です。
■スケジュールを見える化する
仕事の納期を守るには個人のスケジュールを見える化することが必要です。守るべき納期とそれを達成するための作業予定を見える化すること、そしてそれを守ることを日常の作法とすることです。
試作品や少量品などの製造作業や設計作業、事務作業など個人作業が主体の場合、スケジュールは以下の3種類を見える化するのが有効です。
3種類のスケジュール
スケジュール | 目的 | 見える化の方法 |
最終納期表 | 仕事の最終納期を見せる | ・カレンダーに記入する
・最終納期の年月日順に列挙する |
週間計画 | 週間の必要な作業を見せる | ・必要作業と必要時間を列挙する |
毎日計画 | 1日のなかの作業の時間と順序を見せる | ・開始終了時刻と作業を列挙する ・時間枠を決め作業を記入する
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■週間計画を作成する
仕事の最終納期をカレンダーに記入することは、よく見られる方法です。しかしそれを達成するための作業を洗い出し、それを見える化することはやっていないことが多いでしょう。いきなり毎日計画にするのは困難なので、まず週間計画を立てることをお勧めします。
週間計画は以下のような事項を含んでいます。
・仕事を分解して作業を洗い出す
・作業に必要な時間を見積もる
・作業に優先度をつける
・必要時間が確保できるかを検討する
週のレベルで作業の優先度と必要時間を検討するのがポイントです。週間計画の例を以下に示します。
週間計画の例
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作成者:山田均 対象週初日:1/31
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1.作業計画(項目/計画時間)
■重要度高・緊急度低(業務改善、新業務検討等)
・方針施策 1.0
・方針管理フォローアップ 1.0
-------合計時間(h)------- 2.0
■重要度高・緊急度高(納期切迫、部外向け業務等)
・発注業務 8.0
・システム改修検討 4.0
・ITベンダーとの会合 4.0
・審査ワークフロー検討 3.0
・カスタム品発注方法検討 3.0
・旧システ停止対策 2.0
-------合計時間(h)------- 24.0
■重要度低・緊急度高(部内向け定例業務、雑用等)
・グリーン調達会合 2.0
・2011年予算 2.0
・部会 1.5
・課会 1.0
・週報作成 1.0
・メール読み書き 3.0
・雑用 3.5
・書類整理
-------合計時間(h)------- 14.0
■重要度低・緊急度低(出張時移動等)
・出張移動
-------合計時間(h)-------
2.総工数計画
定時工数(h/週):40 予定工数(h/週):40
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■毎日計画を開始のきっかけにする
毎日計画は、1日のなかの作業の時間と順序を見せるのが目的です。量産型の製造現場などでは監督者が1日の作業計画を作って作業者に提示することがあります。しかし試作品や少量品などの製造作業や設計作業、事務作業など個人作業が主体の場合、毎日計画は個人の責任になっていることが殆どです。
毎日計画は、具体的な作業開始のきっかけになるものです。しかし、「頭の中にある」という人が多いのが実態です。「頭の中にある」場合、忘れることがあります。また重要性や緊急度を認識しにくいという弱点があります。「手帳に書いている」という人もいるでしょう。これも会議や人と会うアポイントだけを書いていることが多いのです。書いていない作業は忘れたり緊急度を認識せずに何となく先送りされることが多いのです。
毎日計画は、必要なすべての作業を目で見える形にしておくことが重要です。専用の書式に書かれていることが理想です。以下のようなものを組み合わせて使うのもよいでしょう。いずれかを見れば今日のやるべきことがわかるようにします。
・手帳
・スケジュール表
・ToDoリスト
・メモ
・付箋紙
・メールの受信箱
ちなみに私個人は、GoogleのカレンダーとToDoリスト(パソコンとスマフォで使える)、メールの受信箱を今日やる作業のきっかけに使っています。
GoogleのToDoリスト
■先送り症候群を撲滅する
やるべきことを先送りすることが習慣になっている「先送り症候群」という行動特性があります。これはいくつかの原因があります。しかしながら、やるべきことを何となく先送りしてしまうことは治したいものです。それには以下の習慣づけが必要です。
・今日やることのすべてを見える化する習慣
・それを見る習慣
・見たらやる習慣
実際には「ちょっとイヤだな」と感じる仕事もあります。それでも毎日計画にあったら機械的に着手する。そうした習慣を身につけることが先送り症候群の治療の第一歩です。
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