納期半減の生産清流化
トップページ アルビスについて 業務一流化 組織自律化 情報清流化 見積清流化 資料室 リンク お問合わせ
今日の視点2023
 2022年  2024年

2023/12/23 ダイハツの認証不正と内部統制
 ダイハツは、品質問題で大部分の車種で出荷停止とした。認証申請のためのテストの不正やテストデータの捏造が、長期間・広範囲にわたって行われていた。なぜか。私は内部統制の観点から考えた。
 内部統制の目的は「業務の有効性と効率性」「財務報告の信頼性」「関連法規の遵守」とされる。このうち「財務報告」を「製品」と読み替えれば品質管理にも適用できる。内部統制の5つの基本要素にあてはめると、ダイハツの問題は以下のようになろう。
  統制環境:品質に対する意識や責任感が不足し、トップシェアを守るための開発納期が優先されていた。
  統制活動:試験実施部門と試験評価部門が相互監視できる手順や組織になっていなかった。
  情報と伝達:試験結果の不正が発覚しても、速やかに経営層に報告されなかった。
  モニタリング:品質管理体制の監査が不十分であった。
  リスク評価:試験結果の改ざんの発生可能性とその影響を認識していなかった。
 今回のダイハツの問題は、財務報告にも多大な影響を与えることになる。内部統制の活動は、財務に直接影響を与える販売や調達のプロセスを対象にしていることが多いのではないか。ダイハツの例に学べば、内部統制の考え方は開発プロセスにも適用すべきだろう。
2023/12/9 政治パーティ問題の責任
 国会で政治家のパーティ問題がクローズアップされている。裏金の存在は、政権資金規正法違反と同時に脱税行為でもある。政治資金規制法は、会社や労働組合などが政治家の資金管理団体へ献金することを認めているが、政治家本人への献金は禁止している。
 同法の趣旨に沿って、企業等が資金管理団体に献金し、それを公表すれば問題ない。公表されたくないためにパーティという抜け穴を使ってきた。抜け穴を放置してきた責任は、国会議員全体に責任があるように思う。国会議員には、背景にある「金がかかる選挙制度」を放置してきた責任もありそうだ。
 また、そんな国会議員を放置してきたメディアと国民にも責任がある。世はデジタル時代である。金のかからない政治活動や選挙制度を再設計できるのではないか。

2023/11/25 触媒用貴金属の価格下落
 プラチナ、パラジウム、ロジウムなど、自動車の排気ガス浄化に使われる貴金属の価格が下落している。2021年ごろは新型コロナの影響による自動車減産の影響で下落した。2023年の現在は、中国の経済停滞や米国の金融引き締めを背景として下落している。貴金属でも金の価格は1グラムあたり10,000円が定着しているのと好対照である。
 貴金属を個人の資産として保有しようとする場合、希少性が高いほど価格の上下が大きくなるとされる。安定性の高い金を持つのか、希少性が高いプラチナ、パラジウム、ロジウムを持つのか悩ましいだろう。貴金属ではないがEVのモータに使用されるネオジム、電池に使用されるリチウムなどの価格は堅調らしい。

2023/11/11 円安下での企業と市民
 11月1日、トヨタ自動車は、2024年3月期の連結純利益が3兆9500億円になる見通しを発表した。従来予想の61%増だという。利益を押し上げた最大の要因は値上げ効果だとされる。値上げしても売れる商品力はトヨタの力である。もうひとつの要因は円安である。円安によって従来予想から1兆1800億円をプラスしたという。
 一方、11月7日には2023年9月の実質賃金についての報道があった。実質賃金は前年比で2.4%低下し、18カ月連続でマイナスとなった。こちらの要因は円安を背景にした物価高である。
 現在、国政のトップには「増税メガネ」の名が冠され支持率は低下の一方である。プライマリーバランス黒字化は重要だろう。だが、聞こえてくるのは市民が負担する税率を上げる方向の話ばかりである。本来、必要なのは円高でも稼げる国になること。そうすれば法人所得税、市民の所得税、消費税なども増収になるはずである。もうひとつは支出を見直すこと。これらの話がないから国政トップの名前は「増税○○メガネ」に格上げされるのだろう。

2023/10/28 せき止め薬の供給不足
 新型コロナは、国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報によると、第9波がピークアウトした。一方、インフルエンザの増加が続いている。
 その中で、せき止め薬と、たん切り薬の不足が起こっているという。原因は、新型コロナとインフルエンザだけではない。国内のジェネリック医薬品は2020年以降、沢井製薬や日医工などで品質管理の不正が発覚し、業務停止命令などを受けてきた。それによる医薬品の供給力不足が起きている。
 背景には、ジェネリックの薬価設定があるそうだ。儲けが少ない価格なので、需要が増えても供給力を上げるための投資ができないという。円安なので輸入もできない。衰退途上国の哀愁が漂っている。

2023/10/14 自民しぐさの記者会見
 10月13日、細田博之衆院議長が議長公邸で記者会見を開いた。議長の辞任、次の衆院選に立候補する理由、旧統一教会との関係、セクハラ疑惑を説明するとされていた。
 しかしながら時間は30分に制限され、場所の都合から取材人数も40人程度に制限され、5つの記者クラブの加盟社が優先された。結果として「旧統一教会の会合に出席したが問題ない」「セクハラを訴えた人はいない」と一方的に説明するものになったようだ。
 記者会見とは、記者との質疑が中心だったはずだ。だが自民党政権が続くなか、政府の記者会見は、質疑を抑制し大本営発表を優先する場になった。具体的には時間制限、人数制限、質問者制限、更問制限によって質疑を抑制する。その手口はジャニーズや国会議長にも引き継がれて、日本の伝統芸となりつつある。

2023/9/30 新型コロナ第9波
 2023年5月8日から新型コロナが5類感染症の扱いになり、流行状況の把握は、国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報が頼りである。現在、第9波と呼ばれる流行期になっている。グラフを見ると8月中旬の谷は病院がお盆休みの影響だったようで、9月後半になって、ようやくピークアウトの兆候が出てきた。流行している変異株はオミクロンから派生したグリフォンを経てエリスが主流になっているという。
 一方、国立感染症研究所の週報によると、インフルエンザが流行しはじめている。例年12月頃から流行が始まるが、今年は9月から立ち上がりはじめている。インフルエンザも高齢者には致命的となるので警戒が必要である。

2023/9/16 内閣改造の狙いは?
 2023年9月13日、岸田総理大臣は内閣改造を行った。毎度のことであるが改造の狙いは不明である。個別には突っ込みどころ満載の人事であるが、女性の人数に注目したい。
 今回は過去最多タイの5人の女性を大臣に起用した。2022年の内閣改造では2人だったので3人増である。人数は多いが顔ぶれには問題がある。ひとつだけ挙げれば加藤鮎子少子化担当相には政治資金規正法違反の疑いで9月15日に告訴状が提出されている。
 一方、9月15日に決定した副大臣と政務官の計54人中、女性はゼロであった。2001年に副大臣・政務官が導入されてから女性ゼロははじめてだという。2022年の内閣改造では11人だった。改造の狙いは何だったのだろうか。

2023/9/2 原発処理水の海洋放出
 8月24日、福島第一原発からでたALPS処理水の海洋放出が始まった。地元漁民との合意はされないままだった。海外では中国が最大の反発を示している。日本の海産物の全面輸入禁止のほか、来日中国人観光客の減少といった影響も出ている。
 中国政府が政争の種としたという面はある。しかしその裏には中国国民の不信感があるだろう。原因は、日本政府のリスクコミュニケーションのまずさにある。福島の漁民をはじめとする日本国民も完全に説得できないのに、情報の乏しい中国国民が納得するはずがない。「科学的に安全」という呪文だけで押し通し、心理的な安心をもたらす双方向のコミュニケーションに労を惜しんだ政府の責任は重大である。わが国のリスクコミュニケーションは未だ大戦中のレベルから進化していなのではないか。
 もともと「タンクが一杯になるから」という理由だったが、福島第一原発の隣接地を買い取ればいくらでもタンク用の土地はあったはずである。それがなぜできないかの話は聞いたことがない。事故10年目となる2021年3月の東京新聞の記事にあるような凍土遮水壁の問題が、その後どうなったかも私は知らない。

2023/8/19 新型コロナその後
 2023年5月8日から新型コロナが5類感染症の扱いになった。5/9から厚生労働省の専用サイトではデータの更新がされなくなった。新型コロナの感染状況はどうなっているのか。
 国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報の2023年8月4日発行の第29号(7/17-7/23の集計結果)を見た。それによると「新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数は第20週(5/15-5/21)以降増加が続いている。都道府県別の上位3位は佐賀県、宮崎県、長崎県である。」とされている。
 グラフにしてみたら、5月以降確かに増加が続いていた。高齢者や基礎疾患がある人は5類になっても警戒が必要だろう。

2023/8/4 暑かった7月
 8/2の報道によると、2023年の7月の日本の平均気温は、近代的な観測が始まって以来の120年間で最も高かったという。これまでの記録は1978年の7月だったが、45年ぶりに記録を更新した。
 7月の暑さをCO2による地球の温暖化に結びつける人は多い。南極の氷を掘り下げた調査によると、気温、海水温、CO2濃度は約10万年周期で上下を繰り返しているという。一方、国際環境経済研究所の資料によると、縄文時代の日本の気温は今より2℃高かったとされる。また、奈良時代から平安時代にも高温期があった。これらの時代の高温期はCO2が主因だったのだろうか。
 温暖化や寒冷化の要因はCO2以外にも地球の公転軌道の変化、地軸の傾きの変化、太陽活動の変化、大規模な火山噴火などが挙げられている。「人間の経済活動によるCO2排出量が地球温暖化を招く」という単純な話ではなさそうだ。いずれにしても高温化には対応しなくてはならない。縄文人や平安貴族の知恵を掘り起こす必要があるかもしれない。

2023/7/22 今夏の電力消費
 7/22、関東甲信と東北に対して梅雨明け宣言があった。既に7/6頃から梅雨前線は関東より北にズレていて、雨らしい雨は降っていない。7/18、三連休明けの火曜日には猛烈な暑さとなった。そのため東京電力管内のピーク電力消費は、今夏最大の5,525万kwとなった。供給力は6,188万kwであり、89%の負荷率だった。この日の太陽光発電の供給ピークは1,325万kwで、最大需要の24%であった。
 東京電力管内のピーク電力消費(2001/7/24が過去最大値)
20012008200920102011201220132014201520162017201820192020202120222023
月日7/248/87/307/232/148/308/98/58/78/98/97/238/78/218/268/27/18
万kW64306089545059995150507850934980495753325383565355435604566559305525

2023/7/8 日本のカラシニコフ氏を作るな
 7/6の報道によると、2014年に閣議決定された防衛装備移転三原則に対して、自民・公明両党の実務者は見直しに向けた論点をまとめたという。1960年代に形成された武器輸出三原則では、武器の輸出や外国との共同開発を基本的に認めていなかった。これに代わって決定された防衛装備移転三原則では、平和貢献・国際協力・同盟国との共同開発など場合には厳格審査・情報公開・移転先での適正管理などを条件として認め得るものとされた。国内製造の武器の費用高騰に対応することが目的のひとつである。
 今回の見直しは三原則と同時に国家安全保障会議で決定された運用指針が対象のようである。運用指針中にある「我が国との間で安全保障面での協力関係がある諸国」「救難、輸送、警戒、監視及び掃海に係る協力」などの対象を拡大する方向で見直しされるようである。ちなみにこの運用指針は2022年に改正され、ウクライナへの防衛装備の移転が追加されている。
 防衛装備移転三原則については、2つの問題を提起したい。ひとつは武器輸出という防衛の大きな意思決定が国会審議を経ず、閣議や国家安全保障会議で決定・改正されていることである。もうひとつは結果として日本人が開発・製造した武器が他国の人を傷つけることになることである。
 カラシニコフ銃は、模造品も含めて世界に1億丁が存在すると言われる自動小銃である。開発したミハイル・カラシニコフ氏は晩年、祖国を守るために開発した銃が世界中で使われ、結果として多数の人命が奪われたことについて「心の痛みは耐え難い」と告白している。日本からカラシニコフ氏やカラシニコフ銃が出ないことを望む。

2023/6/24 H3ロケットの失敗原因
 2023年2月12日に打ち上げられたH3ロケット1号機は、第2段エンジンに着火できず失敗した。第2段エンジンを制御する機器に過電流が生じ、電源が遮断されたとされる。6月22日にはJAXAから失敗原因を9つのシナリオに絞り込んだとの報告があった。使われている部品に予測よりも大きな衝撃が加わった可能性が原因のひとつだという。
 2段目エンジンはH2Aでも使われているものだったが、制御機器はH3に新たに開発されたもののようだ。地上試験はやっているはずだが、1段目エンジンのパワーアップによって地上試験では再現できない環境条件にさらされた可能性がある。
 初めて設計した製品やユニットには思わぬ問題が発生するものである。重要なのは問題を隠さずに関係者に知らせ、速やかに解析・修正することだろう。問題を隠蔽しようとするとマイナンバーのように信頼を失墜させる。

2023/6/10 中国の自動車輸出が世界首位に
 2023年1〜3月の中国の自動車輸出台数は107万台だったという。日本の95万台を超えて世界首位となった。中国国内の自動車の販売・生産台数は2009年に世界最大となっていた。それに加えて輸出台数でも首位となり、世界最大の自動車大国となった。
 107万台は前年同期+58%である。このうちEVなどの新エネルギー車が39万台で前年同期の2倍近くになったことが大きな要因である。もうひとつの要因は、日米欧州のメーカが撤退したロシア向け輸出が増加したことにある。
 さて、自動車の市場としても生産拠点としても大国の中国に対して、日本メーカはどう対応するのだろうか。

2023/5/27 地震列島
 2023年5月は震度5弱以上の自身が頻発した。5/5には石川県能登地方の震度6強と5強の地震があった。5/11には千葉県南部で震度5強、5/13にはトカラ列島近海で震度5弱、5/22には新島近海で震度5弱、5/26には千葉県東方沖で震度5弱の地震が発生した。これらの地震が大規模地震につながるものかは不明である。しかし日本列島は地震の多発地帯であり、備えは常に必要である。
 政府が2021年に閣議決定した第6次エネルギー基本計画では2030年の電源構成おける原発比率は20〜22%とされている。原発の稼働延長だけでなく新設も進めようとしている。原発を持つことは地震のときのリスクだけでない。ウクライナでみられたように有事の際のリスク、プルトニウム保管のリスクなど安全保障上のリスクを抱えることになる。地震列島で原発を持つことの是非についての議論は不足している。

2023/5/13 マイナンバー保険証の怪
 5月12日、加藤厚生労働大臣は記者会見で、マイナンバーカードを保険証として使った際に別人の情報がひも付けられていた事例が複数あったことを明らかにした。2021年10月から2022年11月までに、誤登録が約7300件、誤登録が原因で他人に個人情報を閲覧されたケースが5件確認されたという。原因は「入力ミスによってカードに本人以外の情報がついた」とされている。
 AさんのマイナンバーにBさんの情報がひも付けられるのは次のようなケースが考えられる。(1)AさんのマイナンバーにBさんの個人情報が直接入力されたケース、(2)Bさんのマイナンバーと思い込んでAさんのマイナンバーを入力し、そこにBさんの個人情報が入力され、さらにAさんのマイナンバーにその情報がひも付けられたケース。
 マイナンバーカードから電子的に読み取ったマイナンバーが正しいという前提ならば、個人情報を追加する場合にはマイナンバーカードからマイナンバーを読み取って、追加情報は本人が入力したものを使うのが原則だろう。前述の(1)(2)は原則からはずれたケースである。原則外のケースを扱う場合は、マイナンバーの誤記や入力原票の取り違えがありうることを想定したワークフローにすべきだが、できていないのだろう。マイナンバーカードの関連システムには、こうした基本ができていないものが更にありそうだ。

2023/4/29 自衛隊ヘリコプター宮古島事故
 4月6日に沖縄県宮古島に駐屯する陸上自衛隊のヘリコプターが島の北西の海に墜落した。墜落した機体はUH-60JA型で、10名の自衛隊員が搭乗していた。4月16日に水深約100mの海底にあった機体が探知され、4月19日にはダイバーによる搭乗員の回収がはじまった。4月28日には民間のサルベージ船が現地に到着し、機体の引き上げ準備が進められている。
 今のところ墜落原因は不明である。レーダから消える2分前まで管制官と交信があり、異常はなかったとされる。原因が究明され対策されることを望む。
 私が住んでいる神奈川県相模原市内には、米軍のキャンプ座間がありヘリコプターが発着する。厚木基地も近いため米軍や自衛隊のヘリコプター、オスプレイ、戦闘機、対潜哨戒機などが低空を飛んでいる。横田基地の進入経路にもあたっているため大型の米軍機が頭の上を通過していく。宮古島の事故は他人事ではない。

2023/4/15 日本のミサイル政策の課題
 4月13日朝、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された。2023年は北朝鮮からのミサイル発射が増えている。今回の特徴としては2つあった。ひとつは固体燃料の大陸間弾道ミサイルだったことである。固体燃料のミサイルは、液体燃料のミサイルと違って車両など移動型の発射台から発射できる。
 もうひとつは日本側の事情としてJアラートの情報訂正があったことである。最初に「北海道に落下恐れ」のアラートが出され、後で訂正された。自衛隊のレーダから途中で消失したことが原因とされている。
 もし北朝鮮が日本を攻撃するならば、大陸間弾道ミサイルは必要ない。固体燃料の中距離ミサイルになるだろう。発射場所を事前に特定することは困難である。そうした状況で自衛隊のレーダが今回のような実力では、大変心もとない。敵基地攻撃用のトマホーク購入の前にやるべきことはたくさんある。

2023/4/1 スペースジェットの検証
 3月30日の報道によると、三菱重工業が開発から撤退した旅客機、スペースジェットについて、経済産業省は検証のための会議を立ち上げるという。巨額の税金を投入していることから検証が不可欠とされている。
 検証はぜひやって欲しい。ただし撤退に関する政府や経済産業省の影響も検証して欲しい。小型ビジネスジェット機市場で首位を続けるホンダジェットは、アメリカに開発拠点を置いた。そして日本政府や日本本社の影響を極小化したことが成功の要因ではないか。
 ついでに高速増殖炉もんじゅのプロジェクトの検証と、福島第一原発の廃炉プロジェクトの中間検証もやってもらいたいと思う。

2023/3/18 風任せの新型コロナ政策
 厚生労働省の発表によると、3月13日からマスクの着用について「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断が基本となります」とされた。これまでは、屋外ではマスク着用は原則不要、屋内では原則つけるように呼びかけていた。
 変更の理由は説明されていない。マスクに限らず厚生労働省の新型コロナ対策は、理由や根拠が丁寧に語られた記憶があまりない。空気や雰囲気でなし崩し的に政策が決まっているように思える。
 政策が雰囲気で決まっていくのは新型コロナだけではない。防衛や原発の政策の同様である。わが国は風任せでどこに向かうのか。舵のついた帆船ならば救いがあるが、糸の切れた凧でないことを祈る。

2023/3/4 対インド外交の失態
 3月2日、インドでG20外相会合が行われた。米国のブリンケン国務長官やロシアのラブロフ外相が出席するなか、日本の林芳正外務大臣は国会出席を理由に欠席した。代理で山田外務副大臣が出席した。この対応に国会内では野党だけでなく自民党内からも批判の声が出ているという。またインド現地でも非難する報道があがっている。
 林大臣は3月3日にインドを訪問し、日米豪印外相会合に出席した。また岸田首相が3月19日からインドを訪問し、モディ首相と会談を行うことが報道されている。これらの対応も恥の上塗り感がただよう。
 インドは2023年に中国を抜いて人口世界一となる。現在世界5位のGDPも将来は中国を上回る予想もある。インドに対する日本外交の失態は、政治だけでなく経済にも悪影響がありそうだ。

2023/2/18 MSJの開発中止
 2023年2月6日、三菱重工業は、国産ジェット旅客機の三菱スペースジェットMSJの開発を中止するとの報道があった。2020年10月には量産凍結の発表があり、拠点の閉鎖も進められていた。
 昨年12月9日には、中国商用飛機COMACのC919型機が中国東方航空へと引き渡された。中国の空限定ではあるが、2023年春にはC919が運航を始めるという。
 MSJは日本政府、C919は中国政府が関わっている。企業の力の差もさることながら政府の力の差があるのではないか。小型ビジネスジェット機市場で首位を続けるホンダジェットは、アメリカに開発拠点を置いている。日本のものづくりと行政の力を過信してはいけない。

2023/2/3 イングランド銀行の利上げ
 2月2日、英国の中央銀行であるイングランド銀行は、0.5%の利上げを発表した。利上げは10回連続で4%に達した。前年比で10%を超える消費者物価指数の上昇と、それに伴う賃金の上昇圧力からくるインフレへの対策だとされる。
 日本でも利上げと賃金上昇への志向が見られるが、そのレベルは英国ほどではない。彼我の差はどこにあるのか。エネルギーや資源価格の上昇は日本にも英国にも影響している。一時期の円高は一段落しているが、為替の影響は日本のほうが大きかったのではないか。
 日本と英国のインフレ傾向の差の要因は、基礎的な成長力が低いという経済の実力の問題と、デフレに長期間に慣らされたマインドの問題にあるように思う。

2023/1/21 電力ひっ迫のプロパガンダ
 来週、強力な寒波がやってくる。1月26日の東京の最低気温はマイナス6℃との予想もある。電力需給が厳しくなるはずだが、マスコミから電力需給に関する報道は聞こえてこない。代わりに報道されているのは原発の話である。
 遡ると2022年11月1日に経済産業省が今冬の電力需給対策を示した。その後、政府では原発の稼働延長に関する動きが活発化した。2022年12月22日には、政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議が開催され、原子力について「将来にわたって持続的に活用する」との基本方針が示された。方針には廃止する原子力発電所を建て替えることが含まれている。また原発の運転期間も最長60年から停止期間を除外することが盛り込まれた。
 東日本大震災以来、原発を新設せず、既設のものの運転期間を最長60年としてきた政策を転換することになる。だが防衛費増額と同様に国会での議論はない。秋までの電力ひっ迫の報道は、原発新設の世論を形成するためのプロパガンダのように思える。

2023/1/7 新しい戦前
 2022年12月28日の「徹子の部屋」で、タモリ氏が「来年は新しい戦前になる」と発言した。その年がやってきた。2023年から急に戦前になるわけではないだろう。昨年来の戦前の空気が、さらに加速するだろうというのがタモリ氏の予想である。
 私が何よりも危惧するのは、国会軽視の国政である。防衛問題だけでなく原発稼働延長にしても、国会の議論がないままに、閣議決定で進められている。前回の戦前では、大政翼賛会を中心とした翼賛体制が開戦の要因だったとされる。だが翼賛体制は一応、国会が舞台であった。だが閣議決定で決める体制は、翼賛体制より悪い。半島の北側の国より少しマシというレベルだろう。
 このままでは、いずれ日本でも核兵器を保有する可能性もある。しかし「ナチスに学べ」と言った元首相、統一教会の広告塔だった元首相、あるいは現首相が核ボタンをを持った姿を想像してみよう。日本は武装するほど自死に近づくことが想像できる。

トップページ アルビスについて 業務一流化 組織自律化 情報清流化 見積清流化 資料室 リンク お問合わせ
Copyright(C) 2004-2024 ALBS All Rights Reserved.  アルビス 神奈川県相模原市中央区矢部1-23-18 代表:若槻直