納期半減の生産清流化
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今日の視点2016
 2015年  2017年

2016/12/24 やるやる詐欺師が進める東京五輪
 国と東京の害毒が他県へ流出しだした。12月22日、オリンピックの費用負担を求められた千葉県知事と埼玉県知事が不満を表明した。競技が開かれる北海道、宮城県、神奈川県、静岡県の知事も懸念を表明している。
 もともと東京五輪は福島原発をアンダーコントロールとし、コンパクトさを売りにしたウソの上に構築されている。これまで神奈川県民である私自身は冷ややかに眺めていた。だが東京以外への影響が明らかになり心穏やかではない。金銭的な問題もさることながら、政治家の「やるやる詐欺」の蔓延が気になる。「やりますやります」とウソをつき、選挙に勝てば約束を破る。約束を守らない究極が憲法違反である。それを許すかどうかは裁判所ではなく選挙民である。
 やるやる詐欺師の跋扈は、それを認める選挙民の問題でもある。

2016/12/10 多数派依存症
 12月6日、統合型リゾート(IR)を推進するための法案、通称カジノ法案が衆議院で可決された。カジノを含むIRを成長戦略のひとつとして推進する自民党や日本維新の会が、ギャンブル依存症を心配する声を抑えた形になっている。
 日本では既に年間売上が公営ギャンブル5兆円、パチンコ23兆円、宝くじ1兆円と言われるギャンブル市場がある。世界一のギャンブル大国である。だがその規模は縮小傾向である。一方、厚生労働省の推計によると日本は536万人のギャンブル依存症がいるとされる。これも恐らく世界一だが、ギャンブル市場の縮小とともに減少傾向なのではないか。ギャンブルの売上低下や依存症の減少は、業界や経済面からは大問題だろう。病人が減ると困る人たちもいるのである。
 経済問題や依存症問題より深刻と思うのは、こうした問題を含む法案がろくに審議されないで国会で可決されることである。国会の多数派依存症のほうが深刻度が高いと思う。「赤信号みんなで渡れば怖くない」のだろうが渡った先はどうなるのか。
 もうひとつ気になるのはイスラム教徒である。イスラム教では酒とともにギャンブルが禁じられている。たしかに脳内麻薬が作用するギャンブルのほうが、酒や薬物よりも依存から抜け出しにくい。カジノ法案がイスラム教徒からどう見えているのかチェックしたほうがいい。宗教では神道や仏教よりイスラム教のほうが多数派なのだから。

2016/11/26 11月の雪
 11月24日、関東地方に雪が降った。わが家でも数センチの積雪があった。東京での11月の降雪は54年ぶりだそうだ。積雪は観測史上初だった。
 54年前に降雪があった1962年が明けて1963年の冬は寒波が居座り、大雪になったという。今年も同じパターンになるかもしれない。11月に真冬並みの寒波が南下した一方で海水温が高い。9月の長雨が終わった10月11月も関東では湿度が高く曇りの日が多いような気がする。海水温が高いため10月に函館沖の定置網に熱帯地方の魚であるマンタやウシマンボウがかかったという報道があった。
 恐らく海水温は1962年より2016年のほうが高いだろう。大雪に対する準備が必要かもしれない。

2016/11/12 やるやる詐欺の蔓延
 11月9日、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利した。隠れトランプ支持者が多かったということである。暴言王に対して支持を明らかにできないが投票はしたという人が多かったのだ。違法難民の排除、貿易の保護主義などを主張していたが、大統領になれば現実路線に落ち着くという見方も多い。誇張によって支持を集めるのは政治の技術だとする言動もある。
 政治家にウソや誇張が多いことは洋の東西を問わない。福島原発をアンダーコントロールとし、3000億円でできるコンパクトさを売りに誘致した五輪が、現在どんな状況にあるのか。アベノミクスによる規制改革やインフレ2%達成がどうなっているのか。一時の支持を得られれば平気でウソをつく。私は政治家のこうした行動を「やるやる詐欺」と呼んでいる。本来の意図を隠して別の争点で選挙に臨むのも一種の「やるやる詐欺」である。世界的にこうした政治家が主導する国が増えていることに不安を覚える。

2016/10/29 長時間労働の要因
 9月27日首相官邸で第1回「働き方改革実現会議」が開催された。どんな方向に改革を進めようとしているかわからないが、長時間労働や過労死を防ぐことは最大の課題だろう。9月30日には2015年12月に電通の新入社員が自殺した件について労基署が労災を認定した。こうした悲劇をなくさなくては改革にならない。
 だが命と引き換えに働いてしまうのは心の問題である。社会通念から変えないとなくならないと思う。長時間労働の要因となっているのは、「労力礼賛」「同調圧力」「時間欠如」だろうと考えている。これらは日本社会の習性である。
 「労力礼賛」とは成果主義と反対の考え方である。アウトプットを称賛するのではなくインプットを称賛する。手間暇をかけることが良いこととされる。「同調圧力」はムラ社会の特性である。長時間労働する人が称賛されるので、そのマネをする。それに背を向ける人を村八分にする。「時間欠如」は時間や締切に対する意識の欠如である。時間を気にせずに労力礼賛すると残業は際限なく増える。
 これらは農耕民族の習性だろうと思う。農耕は労力をかければかけるほど成果が上がる。農作業には他人の協力が必要である。季節は気になるが1日の中の時間は気にならない。狩猟民族の仕事は労力よりも知力が成果を左右する。良い猟場は人に教えないほうばよい。動物が相手なので1日の中の時間を気にする必要がある。
 しかし昔の日本や現代の農業国で過労死が多発したという話は聞かない。過労死にまで至るのは「高度成長」「拝金主義」が要因としてプラスされたからだと考えている。

2016/10/15 MRJのフェリーフライト
 日本時間の9月29日、国産ジェット旅客機MRJがフェリーフライトされ、飛行試験の拠点となる米国モーゼスレイクへ到着した。フェリーフライトへの出発は3度目だった。8月27日と28日に出発したときは、2日連続で空調システムに不具合が発見され、小牧空港へ引き返している。現在5機ある試験機のうち、4機を年内にモーゼスレイクへ移送する予定だという。
 量産初号機の引き渡しは、2018年中ごろを予定している。フェリーフライトでのトラブル発生などから納期変更が懸念されている。しかしながら10月14日、「2016年国際航空宇宙展」で三菱航空機の森本浩通社長が講演し、納入は従来どおり2018年を目指す考えを表明した。
 だがテストを実施すれば1回では合格しないのが、エンジニアリングの常である。私の経験則では「手直し3回」である。平均的に手直し3回が発生することを見込んで計画を立てておけば安全である。MRJのフェリーフライトも3回を要した。甘い計画のまま突き進むのは日本人の習性であるが、MRJのテスト計画はどうなっているのだろうか。

2016/10/1 台湾を襲う台風
 9月27日、台湾に台風17号が上陸し、死者4名を含む甚大な被害をもたらした。台風17号は上陸直前に最低気圧940hPaを記録した。最大風速は85knots(44m/s)とされる。
 今年は日本でも台風の上陸が相次いだが、台湾も台風被害が多かった。7月8日には台風1号が台湾に上陸している。上陸時の気圧は950hPaと今回の台風17号と同程度だった。だが上陸前日の7月7日には最低気圧900hpa、最大風速110knots(57m/s)という最強クラスの台風だった。9月15日未明に台湾南端をかすめた台風14号も最接近時に最低気圧890hPa、最大風速120knots(62m/s)に達していた。
 今年は日本でも台風の上陸が多かった。気になるのは昔よりも上陸時の強さが増していることである。上陸前後の降雨量も増えている。いずれ台湾並みに最強クラスのまま日本に上陸する台風が出てくるのではないか。

2016/9/17 電力需給2016年夏のまとめ
 今夏の東京電力管内の最大需要電力は、8月9日の5332万kWであった。5,000万kWを超えて5,300万kWまで行ったのは大震災前の2010年以来であった。例年は猛暑日が数日続くと最大電力を記録していた。2015年は東京都心では7月31日から8月7日まで8日連続で35℃以上の猛暑日だった。その最後の日に最大電力を記録している。それに対して、今年は1日気温が上がっただけで最大電力を記録している。今年は気温だけでなく湿度も高かったからではないか。9月9日に気象庁から「8月にはラニーニャ現象が発生していた」との発表があった。だが同時に「日本の気候に対してラニーニャ現象時の特徴は明瞭には見られなかった」とされている。だが今夏は蒸し暑かったというのが実感である。
2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年
月日8月8日7月30日7月23日2月14日8月30日8月9日8月5日8月7日8月9日
万kW608954505999515050785093498049575332

 東京電力で最大需要が記録されたのは2001年7月24日の6430万kWである。ピーク需要は昨年まで毎年平均1.6%程度下がり続けていた。だが今年は6年分の省エネ効果を吹き飛ばすピーク需要を記録した。高温・高湿の亜熱帯化は一時的なものなのか、今後も進むのか。

2016/9/3 違法だが適切だったスズキ
 8月30日、国土交通省から「三菱自動車工業製自動車及びスズキ製自動車の確認試験結果について」が発表された。三菱自動車は軽自動車4車種を除く現行販売自動車9車種(21台)が対象だった。このうち8車種15台の車両で燃費値等が諸元値に達していないことが確認された。燃費の実測値が最も悪かったのはRVRの4WD車であり諸元に対して△8.8%であった。平均でも4.2%下回る結果であった。
 一方、スズキは試験された26車種28台全ての車両で燃費値が諸元値を上回っていた。平均で+3.2%、最大は+6.3%であった。絶対値で最大だったのはアルト2WDである。公称37.0km/Lは市販のガソリン車のなかで世界一であるが、試験結果さらに上回って38.3km/Lであった。スズキの燃費計測は違法だけれど適切だったことが確認された。

2016/8/20 亜熱帯化する列島
 8月9日の火曜日、東京電力管内の電力需要のピーク値が5,332万kWを記録した。この日は猛暑で関東地方で38℃を超える場所が続出した。8月5日の金曜日に記録した5,033万kWに続いて今夏2回目の5,000万kW超えである。5,300万kWまで行ったのは大震災前の2010年以来である。
 東京電力管内では2001年7月24日の6,430万kWが最大記録である。ピーク電力では毎年平均1.6%程度の省電力が進んでいた。今年の暑さで6年ぶんの省エネが帳消しになった計算になる。
 今年の夏は温度もさることながら湿度が高い。8月19日に発生した台風10号は、北緯32度付近の八丈島東方で発生した。台風が発生した緯度は北緯32度付近であり例外的に高い。発生後に「南下しながら」奄美大島へ向かっている。日本が亜熱帯化しているのだろう。

2016/8/6 電力需要5,000万kW超
 8月5日の金曜日、東京電力管内の電力需要のピーク値が5,033万kWを記録した。2014年と2015年のピーク値は5,000万kW以下だったので3年ぶりの5,000万kWとなった。ここ数年は東京で猛暑日が数日続くと電力のピークを記録するというパターンだった。だが8月5日の東京は猛暑日ではなかった。経済活動が活発なのだろうか、今年の電力需要は少し傾向が変わっている。
 電力供給は相変わらず余裕がある。8月5日の最大供給量は5,684万kWだった。ピーク需要の5,033万kWに対して11.5%の余力を残している。供給のほうは太陽光発電や東京電力以外の火力発電所が確実に増えている。もっと供給過剰になれば価格が変動する可能性もある。孫正義が電力業界で価格破壊を仕掛けてくる日もあるのかもしれない。

2016/7/23 ポケモンGO
 ポケモンGOが話題である。7月6日に オーストラリア、ニュージーランド、アメリカでサービス開始したのを皮切りに、欧州、カナダでのサービスが次々に開始された。ダウンロード数は3000万を突破したとされる。そして7月22日には日本でサービス開始となった。私自身、流行りものには手を出さない主義である。だが基礎的な情報収集だけはしてみた。有効だったのは「ポケモンGO攻略News」である。
 これによると「ポケストップ」と呼ばれる場所で、モンスターボール等の道具を入手する。「ポケストップ」はリアルの場所に重ねられた仮想現実の場所である。そして、各地で現れるポケモンをゲットする。さらに「ジム」と呼ばれる仮想現実の場所でポケモン同士を対戦させる。
 大まかな流れはこれまでゲーム機で行われてきたものを踏襲している。登場するポケモンも過去のキャラクターを基にしている。またスマホでゲームをする、カメラで遊ぶというスマホの作法にも依拠している。従って新しいゲームであるが、ポケモンやスマホという文化的OSの上に構築されているので、すぐにユーザーが増えるのだろう。
 私自身は手を出す気ははいが、気になるのはジムでんぼ対戦がチーム行われるという点である。ポケモンGOがSNSのひとつになる可能性がある。「SNSはもう増えなくていいよ」と思っているのは私だけではないはず。

2016/7/9 今夏の電力需要
 今年の関東地方は、梅雨明けしていない7月上旬から既に35℃以上の猛暑日が発生している。これまでの東京電力管内での電力需要を調べてみた。ここまでの最高は7月4日月曜日の4,838万kWであった。日曜日から2日連続で猛暑日を記録した日である。
 これまでの経験では東京の猛暑日が4日以上連続した日に、その年の最大電力需要を記録している。昨年は東京の猛暑日が8日連続した8月7日に記録された4957万kWである。今年は梅雨明け後に記録的猛暑が予想されている。3年ぶりに5000万kW超えがあるかもしれない。
 2016年4月から家庭用の電力購入が自由化されているが、電力会社の切り替えは予想より進んでいない。今年の猛暑が切り替えのきっかけとなるのか動向に注目したい。

2016/6/25 違法だけれど適切?
 6月21日、国土交通省は燃費不正の軽自動車(三菱自動車「eK」「eKスペース」、日産「デイズ」「デイズルークス」)の確認試験の結果を公表した。燃費の実測値は、約5%〜約16%(平均約11%)諸元値より悪いという結果だった。
 やはり燃費不正が発覚したスズキについては偽装ではなく、定められた方法をとらなかったとされる。構成部品の走行抵抗を個別に積み上げて計算した結果は、定められた方法によるものと大差ないと会社側は発表している。構成部品の走行抵抗を全部把握していたことがわかり、スズキの燃費に関する技術と執念が伝わった。「違法だけれど適切」とも言える。
 スズキについても国土交通省が確認試験を実施しているとされている。その結果の公表が待たれる。

2016/6/11 異常の常態化
 6月1日、通常国会が閉幕した。この日の夕方、安倍首相は2017年4月に予定されていた消費税率の延期を2019年10月まで延期する方針を表明した。一方参院選は6月22日公示、7月10日投票で進められる。
 異常事態である。だが異常であることを指摘する人は思ったより少ない。ひとつは法律で決まっていた消費税率を上げることに関して国会会期中に議論されなかったことである。首相が延期を表明すればよいのであれば国会の存在価値はない。ふたつ目の異常は消費税率の延期に「新しい判断」というレッテルを貼ったことである。安倍首相は延期理由を世界経済の減速に持っていこうとしたが否定された。世界経済ではなく日本経済が減速していることがはっきりしたのだが、原因に言及せず「新しい判断」という未来志向の言葉にすり替えた。三つ目は「参院選で信を問う」ということである。信を問うのは衆院選である。参院選があることは前から決まっていたことである。
 最大の問題は、こうした異常が連発されるものだから国民が異常に慣れてしまったいることである。世界に目を向けると爆弾テロが日常のように発生しているが、昔のように海外旅行をやめる人があまりいない。異常が常態となった世界はどこへ向かうのか。

2016/5/28 消費増税の延期
 消費税の増税延期の流れが固まってきた。5月25日、民進党は消費増税を2年間延期する法案を衆議院に提出した。5月26日、安倍首相はG7首脳会議で世界経済の情勢を2008年のリーマン・ショック直前と似ていると表明した。その心は消費増税を延期するということである。消費増税延期という点で与野党は一致した。ただしその原因は民進党がアベノミクスの失敗としているのに対して、安倍首相は世界経済の減速としている点に違いがある。
 いずれにしても衆議院を解散し総選挙で国民の信を問うということになる。その選挙は「どちらが弱いか」という争いになる。自民党は原因はどうあれデフレ脱却ができていない弱み、安保法制の説明も理解も進んでいない弱み。民進党を中心とした野党はアベノミクスに代わる経済政策が打ち出せない弱み。政権交代にまで至る信頼を得られていない弱み。国民にとっては、どちらがより弱いかを考え、その逆に投票するという気が重い作業になる。

2016/5/14 軽井沢バス事故のその後
 1月15日に15名がなくなった軽井沢碓氷峠でのバス事故のその後である。5月9日の朝日新聞の報道によると「国道で撮影された映像を分析した結果、現場の約125メートル手前まで、バスのブレーキランプが点灯していなかった」ことが判明したという。またこれまでに「ギアを落とす際に速度が速すぎると、ニュートラルに入り、エンジンブレーキが利かない構造」「事故直前、バスの速度は時速約96キロ、バスのギアはニュートラル」ということが判明している。
 警察の見立てでは「エンジンブレーキを利かせようとしたのにギアを落とせないことに運転手が焦り、フットブレーキを踏むのが遅れた」としているようだ。だが125メートルあればフットブレーキだけでも減速できるのが常識だろう。減速できなかった真の原因は他にもある。  事故車は三菱ふそうのMS86エアロクイーンだそうだ。エアブレーキ搭載でクラッチも空気圧制御である。このことから原因はエアコンプレッサーを含むエア系統の故障か、エンジン回転数が下がった状態(コンプレッサーの回転も下がる)でのクラッチ、ブレーキを頻繁に操作した結果、エア圧低下起こしたと推定する専門家がいるようである。まだ真の原因は究明されていない。

2016/4/30 熊本地震 余震1000回超
 4月14日に始まった熊本地震はなかなか収束しない。2週間たった4月28日には余震が1000回を超えた。また余震域も熊本から阿蘇、大分、四国の伊予灘まで広がっている。この動きについて慶長大地震との類似を指摘する人もいる。慶長大地震は約400年前に起こった一連の地震である。まず1596年に慶長伊予地震(M7前後)、慶長豊後地震(M7前後)、慶長伏見地震(M7前後)という中央構造線沿いの地震が発生した。そのあと1605年に南海トラフで発生した慶長地震(M8前後)、1611年の慶長会津地震(M6.9 )、慶長三陸地震(M8.1)に続くとされる。
 避難生活の面でも収束が見えない。被災地では余震が続くため一部損壊した家屋を持つ人は家に戻れず避難生活が長引いている。自然現象は人知を超えたメカニズムで動くことがある。個人の思い込みや社会通念は全く通用しない。社会通念は現代人が生きているせいぜい50年か100年の間に形成されたものである。何か起きるかわからないと思うほうが正しいだろう。

2016/4/16 熊本地震と社会通念
 4月14日21時26分に熊本県でM6.5最大震度7の地震が発生した。死者9名の惨事となり平成28年熊本地震と命名された。さらに4月16日1時25分にM7.3最大震度6強の地震が発生した。気象庁は14日の地震が「前震」で、16日のそれが「本震」と考えられると発表した。この記事を書いている16日朝の時点では被害の全貌はまだよくわかっていない。
 一般に九州では地震が少ないと考えられていたが、それは思い込みに過ぎなかった。熊本では1889年(明治22年)7月28日に今回の地震とほぼ同地域でM6.3の直下型地震が発生し、20人が死亡したとされる。地震は忘れたころにやってくる。九州に地震は来ないと思いこんでいる「社会通念」は正しくないのだ。
 川内原発の運転差し止めの即時抗告審で、4月6日、福岡高裁宮崎支部は「社会通念」を理由に訴えを退けた。自然現象が元になる事象に対して社会通念を適用する非科学性に、いずれ自然が報復するだろう。

2016/4/2 電力小売の自由化
 4月1日、電力小売りの全面自由化が始まった。朝日新聞デジタルの報道によると新規参入する会社への事前の契約切り替えは37万件を超えたとされる。だが対象は6260万件であり、率ではまだ0.6%に留まる。当初想定よりも切替えが進まないようだ。理由は2つ考えられる。
 ひとつは電力会社の料金体系である。既存電力会社の料金体系は、契約電流による基本料金プラス従量制である。これに深夜電力に対する割引きやオール電化に対する割引などが加わる。これが新規電力会社になるとどうなるのか分かりにくい。新規電力会社の料金体系も複雑である。通信とセットにした場合の割引きなどがあり、どちらがお得なのか非常に判別しにくい。新規電力会社の料金体系は通信会社のそれに似てきた。携帯電話、固定電話、インターネット、ケーブルテレビとセットした場合の割引や家族割りなど複雑怪奇である。一度契約するとキャリアを変更しにくい。電力会社の料金体系も同じ狙いなのだろう。
 ふたつめは再生可能エネルギーの選択肢が少ないことだ。料金よりも地球環境の観点から電力会社を選びたい人がいると思われるが、受け皿が不足している。朝日新聞デジタルの調査によると現時点で再生可能エネルギー中心の供給者は、5社である。水戸電力(供給先は茨城県中心)、みんな電力(首都圏9都県)、Looop(東電・中部電・関電管内)、みやまスマートエネルギー(九電管内)、大阪いずみ市民生協の5社である。
 かく言う私もまだ様子見を決め込んでいる。エネオスのCMに出演している吉田羊さんからは「意気地なし!」といわれそうだが。

2016/3/19 スキーバス事故の原因究明難航
 1月15日の未明に長野県軽井沢町で発生したスキーバス事故の原因究明が続けられている。3月17日には長野県警が事故車と同じタイプの車両で実車走行実験も行ったという。しかしまだ原因はわかっていない。 居眠り、シフトミス、ブレーキの過熱などが疑われたが、それが原因とするのは合理性を欠いている。自動車評論家の国沢光弘氏によると残る可能性はブレーキ系統の凍結くらいだという。
 当初バス会社の運行管理や運転者の健康管理の不備が事故原因かのように報道された。また過当競争の中で低料金で請け負う業界の状況も事故原因かのように言われた。だが事故の直接の原因は速度が時速96kmに達し、カーブを曲がりきれなかったことである。速度超過の原因こそ究明されなくてはならない。

2016/3/5 社会インフラの劣化
 2月に大阪府池田市の公園で鉄製の照明柱が腐食して倒れ、小学4年の女児が大けがをしたという。3月4日の報道によると、腐食の原因は犬の尿とみられるという。トンネルの天井が崩落したり、コンクリート製の橋脚からモルタルが剥がれ落ちたりして危害や損害を与える事故も増えているような気がする。過去に作られた社会インフラの維持が大きな課題であろう。
 コストをかけずに点検・維持・保全できる方法の開発が望まれる。照明柱については八王子市の不二電業社が「ホキョウセット」を出している。これは街路灯や道路標識などの鋼管の根元部分が腐食した場合の補修材である。全体を交換しなくても安価に延命できる。
 こうしたインフラ維持のための革新的な工法や製品はもっと必要である。東京オリンピック・パラリンピックの成功も、新らしい競技場の建設より古いインフラの維持が鍵を握っているのではないか。

2016/2/20 アナログの実力
 押入れの整理をしていたら古いフィルムカメラが出てきた。
コニカC35という当時としてはコンパクトなカメラだ。最初はシャッターと露出計の動きがおかしかったのだが、簡単な整備をしたら使えそうになった。さっそくフィルムを買ってきて試し撮りをした。
 驚きがいくつかあった。ひとつめは写りが良いことである。1968年発売という48年前のカメラであるが、フィルムとプリントが最新になっていることもあるのかプリントで見る限りデジカメで撮影したものと見分けがつかない。唯一、薄暗い場所で撮影したものはピントが合っている前後がボケていることでフィルムカメラであることがわかる。現代のコンパクトデジカメの場合は焦点距離が短いので、手前から奥までほとんどボケない。
 ふたつめは撮影に必要な操作を忘れるということである。露出のみ自動でピントと巻き上げは手動のカメラである。ピントを合わすのを忘れて撮ったものが何枚かあった。現代のデジカメはやろうと思うとシャッタースピードや絞りだけでなく、ホワイトバランスやら何やらフィルムカメラ以上に細かい操作ができる。だが99%は全自動モードで撮影していることに改めて気づいた。
 みっつめはフィルムとプリントの費用が高いことである。27枚撮りのフィルム・現像・プリントで合計2000円位かかった。フィルム最盛期は1/3の費用でプリントまでできたと記憶している。操作が面倒で費用がかかるフィルムカメラであるが、撮影している実感とプリントが出来るまでの期待感は、デジタル機にはない感覚である。我が家では1974年発売のレコードプレーヤーも現役である。これもまた音を出すときの操作感と期待感はデジタルより上である。

  2016/2/6 マイナンバーカード
 先週末に申し込んでいたマイナンバーカードができたという通知を貰った。さっそく週明けに市役所に取りに行った。私の住む相模原市では取りに行く日時をwebか電話から予約しておかなければならない。私が予約したのは最も早い9:00-10:00の時間帯だった。
 行った時、待っている人が約10名、パソナの名札をつけた市の担当者が8名前後いた。これはまずいと思ったら案の定まず最初の受付までに10分待たされた。待っている間に「予約してない」「予約電話がつながらない」「通知カードを忘れた」「住基カードを忘れた」「パスワードの入力操作がわからない」「耳が遠くて説明が聞き取れない」など様々な問題が発生していた。
 おまけにパスワードをカードに書き込む処理に結構な時間がかかった。結局カードを受け取るまでに40分を要した。発行するだけでこれだけ手間がかかるカードは他にないのではないか。マイナンバーカードは様々な用途が議論されているが、発行が足かせになりそうだ。

2016/1/23 事故原因の究明
 1月15日の未明に発生したスキーバスの事故では15人が死亡した。バス会社の運行管理や運転者の健康管理の不備が多く報道されている。法令違反も多数発見されたという。また過当競争の中で低料金で請け負う業界の状況も指摘されている。あたかもこれらが事故原因かのように。
 だが事故の直接の原因はカーブを曲がりきれなかったことである。法令違反や低料金とは直接関係ない。現にスピード違反をしている車や低料金で走っているトラックのほぼすべてが事故現場となった国道18号碓氷バイパスを無傷で通過しているのだ。
 背景となっている要因と直接の原因は分けて考えなければならない。直接の原因につながる要因だけに対策しないと、過剰管理による現場の労働環境悪化がさらなる事故の背景になる恐れがある。再発防止策とは目に付いた要因を叩くのではない。真の原因をつぶすのが鉄則である。

2016/1/9 後方支援者としてのアメリカ
 第二次大戦中のソ連製の戦車にT-34というものがある。古今東西の最強戦車ランキングを紹介するテレビ番組で1位にランキングされていた。この戦車によってソ連はドイツ軍の進行を食い止めたとされる。その背景を調べてみた。この戦車は攻撃力・防御力のバランスが良い。だが最大の特徴は生産性が高く、延べ6万両以上が製造されたという生産・使用の実績が群を抜いていることである。
 だが台数が多い要因は生産性だけではなかった。当時のソ連はリースによってアメリカからジープ、トラックなどの提供を受けていたという。それで生産力を主力兵器に振向けることができた。アメリカは第二次大戦中に戦闘を行う同時に、連合国であるソ連やイギリスに大量の補給物資や兵器を供給していたのだ。アメリカから見ると武器輸出、ソ連やイギリスからみると後方支援を行っていたことになる。
 アメリカの役割は、現在の対テロ戦争における有志連合に至るまで変わらない。ただし経済の多極化を背景としたアメリカの相対的な地位低下によって、西側諸国全体の後方支援をやりにくくなっている。日本にその役割が期待されている。武器供給する後方支援者としてのアメリカの下請け役が。今年はその役割いっそう明確になっていくのだろう。

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