今日の視点2005
2006年
2005/12/26 セル生産2
セル生産には3つ効果がある。ひとつは「効率化」である。ライン生産と比べるとバランスロスがない。またモノの移動や取り置きの作業が少ない。ふたつめは「意欲の向上」である。複数セルで同じ製品を製造すると競争意識が生まれる。また職務拡大によるモラル向上もある。
もうひとつは「改善の推進」である。複数セルでやると一人の工夫を他の人がマネできる。一番良いやり方が水平展開できるのだ。ライン生産では一番遅い人がスピードを決めるが、セル生産では一番早い人がスピードを決めることになる。また問題発生時に製造を止めて対策できる。並列性があるため、1箇所でトラブルや休みがあっても全体に影響しないからだ。
2005/12/19 セル生産
セル生産が耳目を集めるようになって約10年が経過した。最近ではキヤノンのセル生産が有名となり、第2のブームとなっている観がある。同社では比較的遅く始めたと聞く。だが国内生産にこだわり、かつ好業績を続けているため有名になった。
ひとりが多工程を持つこと、1個づつ作ることがセル生産の特徴である。あちこちで取り入れられているが、これが効果を発揮するには前提条件がある。条件に合わないと形だけのセル生産になってしまう。セル生産が一時の流行で終わらないためには、前提条件を明らかにすることが必要である。
2005/12/12 産業人材施策
市役所が主催する経済懇話会を聴講した。熟練技能の継承と人材育成についてだった。団塊世代が引退する2007年問題に対する施策を検討するのが目的である。
大学の先生は、熟練技能を継承すべしという論調だった。経済産業省の役人もいろいろ考えている。
企業の経営者も問題を感じている。だが、技能を継承しにくい暗黙知の形のままで放置してきた産業界や、
産業と遊離した教育制度についての反省の弁はなかった。もうすぐ2006年である。2007年問題への対策は手遅れではないのか。「若者は面白いことには夢中になる」と言っていた高校先生の言葉がいちばんリアルだった。
2005/12/5 生産管理のシステム化3
企業におけるIT利用のなかで、生産管理システムは最も難易度が高い。時間はモノと違って1+1=2という足し算が成り立たないからである。
昨日の1時間+今日の1時間=1時間となることがある。昨日の1時間は今日使えないからだ。製品Aの加工1時間+製品Bの加工1時間=3時間になることがある。段取替時間があるからだ。製品Cの加工1時間+製品Dの加工1時間=1時間になることがある。バッチでまとめて加工する場合だ。時間の計算はやっかいである。
2005/11/28 生産管理のシステム化2
企業におけるIT利用のなかで、生産管理システムは最も難易度が高い。生産管理システムは場所のデータを扱う。その認識が人によって異なるからである。
例えば「ワイヤカット工程」というのは加工内容を指すのか、それをやる場所を指すのか。その認識をあわせる必要がある。またその場所は加工設備1台が対応するのか、複数台が対応するのか。機械だけが対応するのか、人の段取り作業も対応するのか。こうしたことを定義しておかないと、場所に対応する在庫や時間のデータを関連づけられない。
2005/11/21 生産管理のシステム化
企業におけるIT利用のなかで、生産管理システムは最も難易度が高い。ワープロやメールがスクータとすれば生産管理システムは飛行機である。整備と乗員訓練なしでは使えない。大企業の生産管理システムはジェット機を飛ばすのに匹敵する。
生産管理システムが難しいのは、必要な入力データが多いこと、データの性質が多種類にわたることに原因がある。扱うデータが金/モノ/場所/時間という多種類になるからである。場所は人によって認識が異なることが多い。さらにやっかいなのは時間である。時間はモノと違って1+1=2という足し算が成り立たないのだ。
2005/11/14 秋葉原の今
自宅のオーディオセットの部品を買うために秋葉原へ行った。秋葉原で買い物をしたのは25年ぶりだろうか。駅舎はきれいになり、つくばエクスプレスも開通した。最近はアニメやコスプレのオタクの街として話題になっている。だがラジオデパート、ラジオ会館、ラジオセンターの来客者も多い。まだまだ電気電子オタクも健在である。
高校生くらいの若い電気電子オタクも見かける。だが、主力の顧客が高齢化しているようである。若年層はデジタル機器やソフトウエアの店に多いのかもしれない。アナログ回路や強電の明日を担う人材は大丈夫か?
2005/11/7 中小製造業のマーケティング
中小製造業の販路開拓では、マーケティングの考え方とは違う部分が出てくる。そもそもマーケティングの考え方は「マーケット」の存在を前提としている。マーケットとは、文字通り売り手と買い手が集まって取引をする場である。ここでは売り手・買い手ともに相手やライバルの情報を平等に持っている。
イタリアでは機械部品であってもマーケットが存在すると聞いた。だが、日本では中小製造業の製品を扱うマーケットが存在しない。相手やライバルの情報がわからないのだ。マーケティングというより、まず相手を探すターゲティングが必要である。
2005/10/31 イタリアブランド
イタリアを視察に行った人の話を聞いた。一番印象に残ったのは、機械部品メーカのブランド構築だという。イタリアブランドというと衣料品や装飾品を思い浮かべる。だが機械部品にもあるという。
そういえばイタリア製の自転車やオートバイは、ブレーキは○○製などと謳ったものが多い。イタリアでは部品市場が確立しているという。セットメーカは市場で気に入った部品を集めてきて完成品に組み立てるそうだ。日本とはだいぶ事情が違う。
2005/10/24 シベリア鉄道
極東ロシアのウラジオストック、ハバロフスクを視察に行った人の話を聞いた。街には若い人が多く、活気のあるきれいな街だという。住民は親日的で日本語を勉強している人もいる。旧ソ連時代のイメージを持っていたが、全くと違うという。新潟から飛行機で2時間の場所に知らない場所があったのだ。
知り合いの物流専門家からもロシアの可能性を聞いた。日本から欧州へ輸出するのには、航空便でなければ船便でスエズ運河を通るか運が悪ければ喜望峰回りのルートとなる。しかしシベリア鉄道を使うという手がありそうだと言う。これも全く想定外の話だった。まだまだロシアは近くて遠い国なのだ。
2005/10/18 約束を守る
約束を守るというのはビジネスマンとして当然のことと思っていた。日産のゴーンさんもコミットメントと言っていた。企業にインターンシップに行った学生の発表を聞いても、「社会人は時間を守るのが基本と教えられた」と言っている。だがこれは当然ではないということに最近気づいた。約束を実行できない人が多いのだ。その傾向は、所属している会社や団体によって違う。約束を守らなくてもそのうち忘れるだろうという行動をとる人が多い会社と、そうではない会社がある。
ブランドの価値は、作られた約束事と実践した約束事で決まる。約束をやぶる人は、所属する団体と本人の価値を下げているのに気づかないのだろうか。反対にブランド価値を上げるのは単純に「約束を守る」という点に集約できるかもしれない。
2005/10/10 電力線通信
電気プラグをコンセントに差し込むだけでインターネット通信ができる「電力線通信」が2006年秋にも実用化されるという。この技術は10年位前から話題になっていたと記憶している。
しかし漏洩電磁波がアマチュア無線に影響を与えるために、なかなか実用化しなかった。
その間にADSLの普及が進み、光ファイバでの接続も始まった。
このままお蔵入りするかと思っていた。
ところが総務省の研究会で漏洩電磁波の規制値を設けることで大筋合意された。
スピードの点で光ファイバに及ばない。ADSLと同程度である。
だが利点は多い。電源のある所ならどこでも使えるからだ。
モバイルパソコンもAC電源で使うことが多い。
インターネット通信の世界に地殻変動が起きる。
2005/10/3 継続的改善
デジカメに使っている電池の減りが早くなった。私のデジカメは単三型ニッケル水素電池を使っている。新しい電池を物色するため電器屋に行った。最高容量のものは、2600mAhであった。私が使ってるものは1400mAh、1550mAh、2150mAhの3種類あった。それぞれ購入時期が違う。
半導体ほどではないが、電池の世界も少しずつ改善されている。継続的に改善することで、5〜6年間の間に容量が倍近くになっている。年率にして10数%だろう。月あたりにすれば1%程度か。この程度の改善でも継続すると大きな違いになる。もちろん改善の歩みを止めると競争者に負けてしまう。逆に月1%を1.1%にすると、5年間で半年ぶんの差に広がる。
2005/9/25 ハリケーンとアルカイダ
米国南部ではハリケーン「リタ」が上陸した。3週間前の「カトリーナ」はニューオーリンズを破壊しただけでなく、石油製品の価格に影響を与えた。それをきっかけとして米航空会社2社が破綻した。2001年9月のニューヨークテロが航空会社に与えた影響と似ている。エネルギーの観点からすると、2001年のテロで使われたエネルギーのほうが台風が持つエネルギーより小さい。航空会社への影響に限定すれば、テロのほうがエネルギー効率が高いと言える。
社会の要石となっている所を攻めると、その影響は広範囲に広がる。悪用すると大変なことになるが、良い使い方もある。新たな顧客を開拓する場合や新たな業務を創造する場合である。要石となっている所に集中的にエネルギーを投入することによって、大きな成果を得られるのだ。アルカイダにも学ぶべき所はあるのかもしれない。
2005/9/19 行政の仕事
行政機関の仕事はレスポンスが悪いと言われる。個々の仕事は一所懸命やっているのだが、どうも反応が遅い。
その原因は仕事の多さではないか。行政の仕事は「何が良かったのか」という結果で評価されるのではない。どうやら「どれだけやったのか」という仕事量で評価されるようだ。そのためにやらなくても良い仕事、やらないほうが良い仕事も抱え込んでいる。もっとも行政だけでなく、企業の仕事にも見受けられることではある。
2005/9/12 不透明な政治への決別
衆院選で自民党が大幅に議席を増やした。しかしこれは自民党の勝利ではない。国民は郵政民営化以外の政策に「YES」と言っているわけではない。小泉首相が強調していた通り「郵政民営化にYESかNOか」に国民が結論を出したに過ぎない。
民主党が次の機会に逆転できるとすれば、国民がYESと言える政策を出した場合のみであろう。今回はっきりしたのは、特定政党への支持ではない。総花的なマニュフェストや分かり難い決定プロセスなど旧来の「不透明な政治」への決別である。代わりに「劇場型政治」が本流になる。これは政治だけでなく企業の経営にもあてはまるだろう。
2005/9/6 2つの責任
企業や役所などの中には、責任の所在を明らかにしたがらない風土を持つ組織がある。大辞林によると「責任」には次の2つの意味がある。(1)自分が引き受けて行わなければならない任務。(2)自分がかかわった事柄や行為から生じた結果に対して負う義務や償い。簡単に言えば行動責任と結果責任である。
責任を曖昧にする組織は、結果責任を追及する風土を持つ。しかし重要なのは行動責任のほうである。行動責任は担当者が持つ、結果責任は上司が負うということを明確にしている組織は強い。
2005/8/30 2007年問題
日本の総人口は2006年から減少に転じると言われていたが、2005年から減少するのではという統計も出ている。産業界では2007年問題がクローズアップされている。2007年に団塊世代が大量に定年を迎える。それによって仕事のノウハウが失われるのではないかという懸念である。
しかし労働人口はすでに1998年をピークに減少している。それが少し加速するだけという見方もある。また個別に見ると若年者の補充ができなかった企業に影響が大きい。だがそうした企業は既に競争力を失っている可能性が高い。産業構造の転換を加速するという引き金になる可能性もある。
2005/8/24 重要法案の国民投票
小選挙区制で行なわれる衆院選は、事実上の首相公選制だという論がある。ところが今度の衆院選は、重要法案の国民投票という性格も併せ持っている。自民党が勝てば郵政民営化法案の国民投票が通ったことになる。新党が躍進すれば国民投票の結果はNGである。民主党が勝てば郵政民営化法案は差し戻しということであろう。
郵政民営化を論点にしたくない民主党は年金など別の論点を持ってきている。しかしそれをするほど法案の国民投票という性格が明確になってくる。小泉首相は、重要法案の実質的国民投票というやり方を持ち込んだことで評価されるかもしれない。玉虫色の公約を掲げて土壇場で結論を先送りする旧来の「政治的なやり方」との決別するひとつの方法である。
2005/8/22 問題の先送り
衆院選の前哨戦が賑やかになっている。郵政民営化を論点としている自民党と、別の論点で勝負したい対抗勢力との争いになっている。私は、どちらが問題を先送りしようとしているのかが気になる。
問題を先送りしようとする行動は誰にもある。しかし夏休みの宿題を出さない学生と政治家が一番ではないか。バブル崩壊後の15年間に民間がやったことは数多い。しかし政治家や行政はどんな実績を出したのだろうか。論点よりも実際何をやるかに注目したい。
2005/8/15 サトウキビの実力
地球温暖化問題への対応策のひとつとして植物由来の燃料が注目されている。植物を構成する炭素は、大気中の二酸化炭素が元になっている。したがって植物由来の燃料を燃やしても二酸化炭素が増えないという論法である。
特にサトウキビは単位面積当たりのエネルギー生産効率が高い。ブラジルでは、サトウキビから作ったアルコール燃料が普及している。ブラジルにおけるサトウキビ茎の収量は10aあたり約7トンといわれている。日本では10aあたり約9トン。糖分に換算すると1.3トンに相当する。それに対し米の収量は10aあたり500kg〜700kgである。サトウキビは実力者なのだ。
2005/8/1 地球環境と4つ目のR
地球温暖化問題や廃棄物問題への取り組みは、3Rがキーワードとされている。すなわちReduce(削減する)、Reuse(再使用する)、Recycle(再利用する)の3つである。最近ではもうひとつのRが加わって4R とも言われている。それはRefuse(ごみになる物は買わない)である。これは顧客の立場から見たもうひとつのキーワードである。
製品を提供する立場から言えば、Repair(修理する)、Reform(改築する)、Refill(詰め替える)、Rental(貸し出す)が4つ目のRとなるだろう。3Rが新たな技術やビジネスを生んできたように4つ目のRにもビジネスの機会
がありそうだ。
2005/7/25 ニッチ市場
ニッチ市場は「隙間市場」などと訳される。市場は小さいがそのニーズを捉えると利益率は高い。私はニッチ市場は「隙間」ではないと思っている。市場と市場の間ではなく、市場の「突端」部分にあると考えている。非常に先進的な商品、あるいは逆にレトロやアンティークは両方ともニッチである。これらは市場の隙間ではなく、マス市場から連続する突端にある。地図に例えると東京と名古屋の間の静岡がニッチなのではない。伊豆半島突端の下田や房総半島突端の館山がニッチである。
ニッチは日本の文化になじまないのかもしれない。農耕文化は「遠くの獲物を探すより、皆と一緒にいまある田畑を耕す」というものである。しかし一億総中流の意識も変わりつつある。ニッチが着目される環境はできつつある。ただし大勢に注目されたらニッチではなくなるが。
2005/7/18 温暖化と農作物
18日、関東地方が梅雨明けした。猛暑の昨年よりは遅いが例年なみだろう。今年の梅雨は関東では少雨だったようだ。一方沖縄では記録的な多雨だったと聞く。日照や降雨量は農作物に影響する。
農作物は、食べるだけでなく、二酸化炭素排出量低減への寄与の面で注目されている。針葉樹のパルプに代わるケナフやバガスなどの多年草から作った紙は、ときどき目にするようになった。バガスとはサトウキビの搾りかすである。搾り汁のほうは、アルコールとなって石油の代用となる。温暖化と農作物の作付面積や作柄は相互に影響する。農業技術も向上する。今後の動向が気になっている。
2005/7/10 テロの標的
7日、同時爆破テロが発生した。ロンドンの地下鉄とバスが標的になった。そのニュースの衝撃は、死傷者の人数よりも「ロンドンが標的になった」という点にある。イラクで起きている自爆テロには、このような衝撃はない。
ネットワークは、多数のリンクを持つハブ(要石)が破壊されると全体に影響する。社会システムもその構成要素がネットワーク型の関係を持っている。社会システムのハブは、物理面から見ると先進国の首都であろう。犯行声明を出しているアルカイダもネットワーク型の組織を持つという。しかしそのハブがどこにあるのかわからない点が戦いを不利にしている。
2005/7/4 内部告発
先週、3月期決算の上場企業各社の株主総会が開かれた。不祥事が表沙汰になった企業では、もめたようである。不祥事は昔からあるのだろう。だがそれが表沙汰になることが増えている。多くは内部告発によるものではないか。
従業員が不祥事を内部告発しようと思っても困難なことが多い。従業員は職を失う可能性があるからだ。だが株主は、オーナーであるといっても気楽である。投資の範囲での有限責任である。当然投資先は分散している。だから従業員がマスコミと株主総会を通じて内部告発するという図式ができたのではないか。マスコミと株主総会を使わないで不祥事の是正ができるかどうかが企業統治の課題であろう。
2005/6/27 鳥インフルエンザ
26日、茨城県で鳥インフルエンザが確認された。鶏卵や鶏肉から人間が鳥インフルエンザに感染した例は世界で1件もないとされている。ではなぜ鳥インフルエンザが報道されるのだろうか。
インフルエンザといえば豚にもある。鳥インフルエンザが豚を介して人間に感染するという学説がある。学説が正しければ豚インフルエンザのほうが人間への影響が大きい。しかし豚インフルエンザについて今まであまりマスコミで報道されていない。マスコミの報道方針に疑問を感じる。
2005/6/22 JAL機エンジントラブル
21日、日本航空の羽田発那覇行きボーイング777型機が関西空港へ緊急着陸した。左翼エンジンが故障したためである。15日には羽田空港でボーイング767型機の前輪タイヤが外れる事故があったばかりである。
JALの事故報道で思い出すのはハインリッヒの法則である。1件の大事故が起きる前には、29件の小さな事故があり、さらにその前には小さなトラブルが300件あるというものだ。8月には御巣鷹山の墜落事故から20年が経過する。イエローカードの累積を止めないと出場停止になりかねない。
2005/6/13 村上ファンド
ライブドアのニッポン放送株取得でも登場していた村上世彰氏が率いる「M&Aコンサルティング(通称:村上ファンド)」が、カネボウの大株主になったそうである。村上ファンドは西武鉄道や大証などの大株主にもなっている。
村上ファンドは、株主価値向上の面から経営陣に厳しい注文を出すことで知られている。カネボウの場合も同じ行動に出るのだろう。しかしカネボウの場合、上場廃止になっている。取得した株式を最終的にどうするのか。再上場まで待って売却するのか。再上場を早めるような作戦をとるのか。それとも事業会社へ売却してM&Aへ向かわせるのか。あるいは第三の投資家やファンドへ売却するのか。村上ファンドの出口戦略に注目したい。
2005/6/9 サッカーWカップ予選通過
昨夜、サッカーナショナルチームがワールドカップへの出場を決めた。北朝鮮に2-0の快勝である。最初の得点を決めたのは柳沢。イエローカードの累積で出場できない選手の代わりだった。2点目も途中出場の大黒である。
サッカーは野球に比べて選手間の相互作用が強い。一人が代わると単にそのポジションが補強されるだけでない。全員の動きが違ってくる。この試合でもそうだった。2月の北朝鮮戦でも大黒は途中出場で決勝点を決めていたのだ。ここがサッカー型組織の面白いところである。
2005/6/1 受注生産における納期短縮の法則5
受注生産型の製造業では、業務の繰返し性が低いので納期短縮に有効な対策が見出せないことが多いと思われている。しかし4つの法則がある。4つめは「力量制約の法則」である。
力量制約の法則とは、できることを請け負うということである。自社でできること、連携先でできることを明確にしておき、それに合致するものを受注するのである。必要な力量がない場合には、どんなに時間をかけてもできない。北朝鮮拉致被害者の蓮池薫さんは韓国小説の翻訳をやったが、私にはできない。できないことは断る勇気が必要なのだ。ただし自分がやったほうが顧客の利益になるのなら、中期的には力量を向上してできるようにする努力が必要である。
2005/5/30 受注生産における納期短縮の法則4
受注生産型の製造業では、業務の繰返し性が低いので納期短縮に有効な対策が見出せないことが多いと思われている。しかし4つの法則がある。3つめは「ゴール明示の法則」である。
ゴール明示の法則とは、やるべき仕事の目標や仕様を相手と合意してから始めるということである。受注生産であれば製造する製品の仕様を合意してから、設計・製造する。当たり前のように聞こえるかもしれない。しかし案外これができていない場合が多いのだ。目標や仕様が曖昧なままで仕事を進めると、後で「これはどうするか」「これが決まっていない」「これは違う」となって停滞や後戻りが発生する。
2005/5/27 受注生産における納期短縮の法則3
受注生産型の製造業では、業務の繰返し性が低いので納期短縮に有効な対策が見出せないことが多いと思われている。しかし4つの法則がある。2つめは「雑用優先の法則」である。
やらなければならない仕事が複数ある場合に、雑用や細かい作業を先にやるということである。大きな仕事が気になるものだが、それに手をつける前に細かい仕事を片付けるのだ。大きな仕事を先にやると細かい仕事が納期遅れになる可能性が高い。それらは件数が多いので督促などの件数も多くなる。ますますムダな時間が多くなるのだ。細かい作業を先に片付けておくことで大きな仕事に意識を集中できるのだ。
2005/5/25 受注生産における納期短縮の法則2
受注生産型の製造業では、業務の繰返し性が低いので納期短縮に有効な対策が見出せないことが多いと思われている。しかし4つの法則がある。ひとつめは「先延ばし厳禁の法則」である。
着手できる仕事がある場合に、それを先延ばししないでやるということである。納期ギリギリにならないと宿題をやらない学生症候群を治すのだ。受注生産には特急や飛び込みの仕事がある。仕事を先延ばしすると特急仕事が重なって、すべての納期が遅れてくる。顧客からの督促に応対するムダも増える。できる仕事を片付けておくと特急の仕事もこなせるのだ。
2005/5/23 受注生産における納期短縮の法則1
受注生産型の製造業では、納期短縮が大きな経営課題であることが多い。しかしその対策が「頑張り」だけになっていることもまた多い。受注生産型では業務の繰返し性が低いので有効な対策が見出せないことが多いのだろう。
しかし受注生産型の製造業に共通する納期短縮の対策は存在する。4つの法則を心がけることがその対策である。これらの法則は受注生産型の製造業だけでなく、業務の繰返し性が低いサービス業や事務業務にもあてはまる。
2005/5/20 納期短縮の効果4
製造企業が納期を短縮すると、効果はキャッシュフローとして経営成績に反映する。それは様々な効果が積み重なったものである。さらに要因からみると大きく3種類に分けられる。3種類目は在庫停滞が減ること関連している。
在庫停滞が減ると、「売れ残りの安売りが減る」「有効期限超過の廃棄が減る」という効果がある。そのぶん製品の売り上げが増える。また「在庫で停滞していた資金を現金化できる」「在庫資金の金利負担が減る」という運転資金への効果がある。さらに「倉庫の賃借料が減る」「在庫管理者が減る」「荷扱いの回数、手間が減る」という社内経費の節減効果もある。このように納期短縮には様々な形でキャッシュフローに影響するのだ。
2005/5/18 納期短縮の効果3
製造企業が納期を短縮すると、効果はキャッシュフローとして経営成績に反映する。それは様々な効果が積み重なったものである。さらに要因からみると大きく3種類に分けられる。2種類目は工期が短くなること関連している。
工期が短くなると、「最新の資材価格で買える」という効果がある。また「最新のコストダウン設計を取り込める」という効果もある。売るタイミングが同じならば、資材は設計は最新のほうが安くなっているのが通常である。そのぶん利幅が大きくなる。さらに「工程管理者が減る」「検査結果のフィードバックが早くなり、不良が減る」という効果がある。検査で不合格になった時、製造してから時間が経っていると、その原因は忘れられている。工期が短くなると品質も良くなるのだ。
2005/5/16 納期短縮の効果2
製造企業が納期を短縮すると、効果はキャッシュフローとして経営成績に反映する。それは様々な効果が積み重なったものである。さらに要因からみると大きく3種類に分けられる。ひとつは製品納期が早くなること関連している。
製品納期が早くなると、「受注残を売上げに変えられる」という効果がある。さらに「短納期顧客に売れる」「新製品の先行利益が獲得できる」という効果がある。特に製品のライフサイクルが短い市場では新製品を先行することで大きな利益が得られる。またその製品の部品市場では短納期が求められる。その市場を相手にする企業も納期短縮が大きな武器になるのだ。
2005/5/13 納期短縮の効果1
製造企業にとって納期短縮は大きな経営課題である。そしてその課題を解決すると、効果は利益やキャッシュフローとして経営成績に反映する。納期短縮がキャッシュを生むのだ。
具体的な金額としては、企業によって異なる。しかし概ね納期を1ヶ月短縮すると、売上の1.5〜3ヶ月相当のキャッシュフローが得られる。電子機器のように陳腐化の速い製品は金額が大きくなる。1ヶ月短縮が、その3倍程度の金額となる。成熟製品でも1.5倍程度の金額となる。まさしく「時は金なり」である。
2005/5/10 製造資源としての時間
現代では、時間も経営資源のひとつである。時間は人・モノ・金などの資源と違うのは貯めることができないことである。もうひとつ違う点は、足し算が成り立たない点にある。この現象は特に製造分野で見られる。
モノは1+1=2になるが、時間はそうならない。例1)昨日の1時間+今日の1時間=1時間:これは貯めることができないために、これから使える時間は足し算にならない例である。例2)製品Aの加工1時間+製品Bの加工1時間=3時間:これは段取替時間のために足し算が成り立たない例である。例3)製品Cの加工1時間+製品Dの加工1時間=1時間:これはメッキなどバッチ処理でまとめて加工する場合の例である。時間がこのような特性を持つために、製造分野では時間計算が複雑になるのだ。
2005/5/9 経営資源としての時間
企業経営の資源となるのは人・モノ・金・技術だと言われる。現代では、時間も経営資源のひとつに加えてよいだろう。時間の使い方の巧拙が企業の経営を左右する。
時間が他の資源と違うのは、貯めることができない点にある。今日10個あるモノは明日も10個使える。今日の100万円は明日も100万円である。しかし今日の24時間を明日は使えないのだ。毎日新たな24時間が手に入る代わりに過去の時間は取り返せない。今日の時間をうまく使えない企業は、明日もうまく使えないのだ。
2005/5/6 心理的時間
ゴールデンウイークが終わった。毎日ゴロゴロしている時は時間が十分あるように思えるが、終わったしまうとアッと言う間に感じる。ゴロゴロしていた私と違って海外旅行へ行った人にとっては、毎日がアッと言う間なのに終わってみると充実していたのではないか。誰にとっても時計時間は公平にあるが、心理的時間の差は大きい。
この差は何なのか。心理的時間とは記憶に残るイベント数に比例するのであろう。好きなことをやっているときは、スイスイ進むので短期記憶に残るイベントが少ない。だから早く感じる。嫌なことをやっているときやヒマな時は「いやだ、どうしようか」という考えが短期記憶を支配するので長く感じる。後で振り返ると海外旅行へ行っていた1週間は長期記憶に残っているイベントが多いので充実している。ゴロゴロしていた1週間は長期記憶に残らないので、なかったも同然だ。年をとると1年がアッと言う間に感じるのも、長期記憶に残るような鮮烈なイベントが少なくなるからであろう。
2005/5/3 集団ボケ現象のナゾ
羽田空港で4月29日夜、管制官が2機の旅客機に誤った着陸許可を出す事故が起こった。うち1機は工事で閉鎖中のA滑走路に着陸したという。18人いる管制官全員が工事を忘れていたという。
ポカミスの原因はドジ型とボケ型に分けられる。ドジ型は別のことをやってしまう現象である。一方ボケ形はやることを忘れてしまう現象である。羽田空港の場合、別の滑走路に誘導しなければならないことを忘れていたボケ型であろう。しかしなぜ18人の管制官全員がボケたのだろうか。個人の問題というよりも組織の風土が関係しているのではないか。原因究明が待たれる。
2005/4/28 電車事故と納期遅れ
25日に発生した兵庫県のJR福知山線の電車脱線事故は死者・行方不明者100人を超える惨事となった。カーブでスピードを出しすぎのが原因と推定されている。背景としてダイヤに対する遅れを取り戻そうとしたことがあるらしい。
あわてると事故を起こすのは電車や自動車の運転に限らない。企業の仕事も同じである。納期に対して仕事が後手にまわると精神的に辛くなる。ミスが増える。督促対応のムダも増える。特急仕事が入ってさらに遅れる。半歩先手をとっている時と半歩後手にまわった時は大違いなのだ。時間があり、着手できる作業を持っているときに先延ばししないのがコツである。今できる仕事を片付けておくと特急の仕事が入ってもこなせる。納期に追われているときこそ早期着手が重要である。
2005/4/26 事業戦略と現場体験
企業における事業戦略の重要性は、近年ますます重要視されている。戦略とは文字通り軍隊の作戦を源にしている。私は自衛隊の戦略演習を体験したことがある。仮想の地図上で敵師団がいることを想定し、自軍師団の陣地をどこに設営するかという演習だった。
これがまったくわからないのた。実際の地図にあてはめると横浜に敵がいる。自軍の陣地は小田原にするか箱根にするかという話である。しかし小田原と箱根のどちらが良いかわからない。何しろ陸上自衛隊一個師団が兵士○百人、戦車○十台といわれても、その破壊力が全く想像できないのだ。
事業戦略とは机上の計画である。しかし現場体験に基づく前線の力を知らなければ、全く役に立たない。ホリエモンは企業の前線に位置する人やその力を知って事業戦略を立てていたのだろうか。
2005/4/25 IT経営−運用段階の課題2
ITを経営にうまく活用している企業とそうでない企業の業績の格差が開いているという。うまく活用できない原因は、システム構築の運用段階にも存在する。
運用段階には「プラットホームをいつ乗り換えるか」という問題がある。うまく活用していたシステムが何年かすると、この問題に直面する。サーバーやパソコンが老朽化して買い換える時である。これは仕方がない。しかし同時にOSも変えることになる。windwsは2〜3年ごとにバージョンが変わっている。このOSを変えると今まで動いていたプログラムが動かなくなることが多いのだ。やりたいことは変わっていないのにプログラムの改造が必要になる。最悪はプログラムも作り直しである。プラットホーム、つまりハードやOSをいつ買い換えるかというのは、実は企画段階から作戦を考えておかなければならない問題なのだ。
2005/4/22 IT経営−運用段階の課題1
ITを経営にうまく活用している企業とそうでない企業の業績の格差が開いているという。うまく活用できない原因は、システム構築の運用段階にも存在する。
運用段階でまず問題になるのは「利用者がパソコンやネットワークの操作ができるか」ということである。バーコードや専用端末で簡単に操作できるものもあるが、情報システムの大部分はパソコンでキーインしなければならない。最低限、利用者がパソコンの立上げ、OSの操作、キーボードからの入力ができないと企業の情報システムは成り立たない。パソコンやインターネットが普及して、操作できる人は増えている。しかし相変わらずできない人もいる。家族や職場の周囲の人が使っていて、本人が必要性を感じれば使うようになる。「自分も使えるようになりたい」と思わせる状況を作ることが有効だろう。
2005/4/20 IT経営−導入段階の課題2
ITを経営にうまく活用している企業とそうでない企業の業績の格差が開いているという。うまく活用できない原因は、システム構築の導入段階にも存在する。
導入段階には「メーカ/ベンダの見積・提案を自社で評価ができるか」という問題もある。どんな仕様のものが必要なのかが明らかにできたら。次はメーカあるいはベンダから見積や提案を受けることになる。それが妥当かどうかを自社で評価することが必要である。ここには多少IT用語の基礎知識と慣れが必要である。だがこれも機械設備の導入と本質的には変わりない。相見積をとって内容を比較してみるのが効果的である。
2005/4/19 IT経営−導入段階の課題1
ITを経営にうまく活用している企業とそうでない企業の業績の格差が開いているという。うまく活用できない原因は、システム構築の導入段階にも存在する。
導入段階では「IT導入の推進方法がわかる人材がいるか」が問題となる。ITを使ったシステムを導入する進め方は、機械設備を導入するのと本質的に変わりがない。仕事をどう変えるのか、誰が使うのか、どんな仕様のものが必要なのか、いつ入れるのか、費用対効果は見合うのか、ということを明らかにすることから始まる。ただしITの場合、部門横断的、企業横断的な思考が必要となる。それに慣れた人材を確保することが必要となる。
2005/4/18 IT経営−企画段階の課題3
ITを経営にうまく活用している企業とそうでない企業の業績の格差が開いているという。うまく活用できない原因は、まずシステム構築の企画段階にある。
企画段階では「トップが戦略を信じて方針と金を出し続けられるか」という問題がある。ITを使ったシステムの構築には時間と金がかかる。それを使いこなして経営成績に結び付けるには、さらに時間と人手を要する。経営トップは、方針の旗を振り続けて、社員を目標に向かわせることが必要である。また必要な投資を続ける忍耐力が求められる。他の投資も同じだが、ITは特に時間がかかるために忍耐力が必要なのだ。
2005/4/15 IT経営−企画段階の課題2
ITを経営にうまく活用している企業とそうでない企業の業績の格差が開いているという。うまく活用できない原因は、まずシステム構築の企画段階にある。
企画段階では「その会社の経営戦略を実現する手段として、IT利用が位置づけられているか」という問題がある。例えば企業が車を買う場合、何の仕事に使って効果を出すか考えてから買うだろう。ITも同じである。商品やサービスを差別化する手段として経営にどう位置づけるのか、それが重要である。これなしでITを使っても、経営成績は変わらないということになる。
2005/4/14 IT経営−企画段階の課題1
ITを経営にうまく活用している企業とそうでない企業の業績の格差が開いているという。うまく活用できない原因は、まずシステム構築の企画段階にある。
企画段階では「その会社はIT利用によって差別化できる業種業態なのか」という問題がある。ソフトハウスならばIT利用は死活問題であろう。しかし一般企業において、ITはコミュニケーションの道具である。お客様や取引先とのコミュニケーション、社内のコミュニケーションをITで変えたときに商品やサービスを差別化できるのか。それをまず確認する必要がある。その確認なしにITを導入する企業が多いのだ。
2005/4/13 IT経営の課題
経済産業省は、中小企業のIT化を促進する目的で2004年度から「IT経営応援隊」事業を開始した。ITを経営にうまく活用している企業とそうでない企業の業績の格差は大きく開いてしまったという認識が背景にある。これは中小企業だけの問題ではないだろう。
なぜITを経営に活用できないのか。私は次のように考えている。ITを使ったシステムの構築は、企画段階・導入段階・運用段階にわけられる。まず企画段階では、経営者の戦略が問題である。導入段階では管理者の技術が問題である。そして運用段階では一般社員の人材が問題となる。
2005/4/11 マイクロプロセッサの進化
CELLの開発者の発表を聞いた。CELLはソニーがIBM、東芝と共同開発したマイクロプロセッサである。ゲーム機や家電に搭載するものである。内部に8個のプロセッサを内臓し並列処理ができるようになっているという。並列処理によって性能の限界を打ち破ろうとしている。
一方、インテルのプロセッサは、2004年から2005年にかけて性能が頭打ちになっているという。私はキーボードで操作して画面を見るパソコンは2010年が限界と予想していた。しかしインテルのプロセッサは、それ以前に限界が来ていたのである。マイクロプロセッサの世界では、CELLのような並列処理型が今後主流になりそうである。
2005/4/8 予算制度と確率
各部署の予算を積み上げて全社の予算を作る場合、それが達成できる確率は非常に高くなる。各部署は売上げを控えめに見積もる。経費は多めに見積もる。達成できるかどうか五分五分という見積りはしない。各部署では8〜9割達成できると思う予算を立てる。それを単純に合計すると達成できる確率は100%に近くなる。確率の法則でそうなってしまう。
かくして甘い予算ができてしまう。では本社が各部署の予算を立てたらどうなるか。もともと予算制度は中堅以上の企業で、社長が業務のすべてを把握できないから導入しているのだ。本社集中も現実的ではない。多くの企業でやっているように、積み上げとトップからのチェックを併用するしか手はなさそうである。
2005/4/6 予算制度の弱点
予算は、その前提条件を明確にし、想定外の変化があった場合には経営トップが意思決定する。それによって企業全体の意思決定のスピードを上げる。ところが想定外の変化があったとわかっていても経営トップの意思決定が遅れる場合がある。それは売上げの下方修正である。
株式を公開している企業では、予算をもとにして市場へ計画を発表している。したがって特に公開企業で売上げの下方修正が遅れる傾向がある。予算に縛られる状態になるのだ。製品在庫が増加する原因のひとつである。
2005/4/4 予算制度の基盤
中堅以上の企業では、予算を立てて、それを逸脱しない範囲では各部署に意思決定の権限を委譲したほうが環境変化への対応スピードが上がる。だが、予算を決めた時に想定していなかった規模の変化があった場合にはどうするか。その時は経営トップが判断すればよい。私の知っている会社では、新年度が始まった7日目に予算になかった大規模な設備投資を決めた例がある。
しかし「予算に縛られる」状態になって意思決定が遅れる場合もある。それは予算の前提条件がはっきりしていない場合である。前提条件が明確になっていないと、環境変化が想定内なのか想定外なのかがわからない。特にどこにどんな商品をどれだけ売るかという売上の前提条件が重要である。それがないと想定外の変化があっても「予算に縛られる」ことになる。
2005/4/1 予算制度と中小企業
新しい年度が始まる。中小企業では予算制度を持たない所も多い。「予算に縛られたくない」という社長がいた。確かに中小企業は環境変化への対応スピードが命である。予算なしで社長が臨機応変に舵取りをしたほうが良い。しかし予算があったほうが変化への対応スピードが上がる場合がある。それは中堅以上の企業である。
中堅以上の企業では、社長が業務のすべてを把握できなくなってくる。すると社長の意思決定が遅れてしまうのだ。社長の指示を待つ時間ロスが増えてくる。予算を立てて、それを逸脱しない範囲では各部署に意思決定の権限を委譲したほうが環境変化への対応スピードが上がる。
2005/3/27 不具合隠し
25日、三菱ふそうがトラック部品の事故・不具合を国土交通省に報告していなかったことが明らかになった。この部品は昨年9月にリコールしていたものだ。リコール後に新たに25件の事故・不具合が出ていたという。
三菱ふそうに限らず、問題を先送りしようとする行動は誰にもある。典型的なのは宿題を出さない学生である。先生に叱られなければ出さないまま済まそうとする。私にも経験がある。しかし学生と企業人の違いは行動の社会的責任である。責任の自覚があれば辛くても問題を先送りできない。三菱ふそうには、その自覚が足りないのだろう。
2005/3/23 ロボットの時代4
私はロボットの転換期が2010年にやってくると考えている。ITの利用方法が2010年頃に変化すると思っているからだ。人間がITを利用する方法は大きく分けて2つある。ひとつはパソコンである。キーボードで操作して画面を見る形態である。もうひとつは機器に組み込まれたマイコンの形態である。
今のペースで半導体と通信の技術が発展すると、パソコン型の利用形態は2010年頃限界を迎える。インターネットで受信した動画をハイビジョン画質で見られるようになる。それ以上性能が上がっても、人間の認知能力を超えてしまうのだ。あり余るITの能力を生活に生かすにはロボットで利用するしかなくなるのだ。
2005/3/21 ロボットの時代3
テレビでは二足歩行ロボットによる格闘競技大会が放映されている。大きさこそ違うが鉄人28号やガンダムのように人間が操縦するロボットである。次は鉄腕アトムである。つまり自律的に聞き・話し・行動するロボットである。
ソニーのAIBOやQRIOは人間の会話に反応する。ただし会話というより音に反応している段階だろう。これが鉄腕アトム並みになるのはいつだろうか。私は2010年が転換期になると思っている。
2005/3/19 沖縄のサマータイム
18日、超党派のサマータイム制度推進議員連盟が、同制度の法案骨子を発表した。今国会に議員立法で法案を提出するという。4月の第1日曜日に時計の針を1時間進め、10月の最終日曜日には1時間戻すという。
沖縄では朝の遅刻者が増えるだろう。2005年、那覇では4月3日日曜日の日の出は6:19である。10月30日日曜日は6:37となる。沖縄は緯度と経度の関係で夏の日の出時刻が遅い。もしサマータイムが実施されると出勤時にはまだ暗いということになりそうだ。宵っ張りの県民性からすると睡眠不足の人が続出しそうである。
2005/3/17 ロボットの時代2
1990年代のロボットは工業用だった。多くは腕が1本あるだけの姿だった。それが21世紀を目前にして様相が変わる。1999年に発売されたソニーの犬型ロボットAIBOは家庭に入った。その後ソニーの人間型ロボットQRIOは二足歩行やダンスができる。ホンダのASIMOも人間型である。
2005年の現在、テレビでは二足歩行ロボットによる格闘競技大会が放映されている。いよいよ鉄人28号やガンダムの時代が近づいてきた。だがロボットの進化はまだ続く。
2005/3/16 踏切事故
15日夕、東京都足立区にある東武伊勢崎線の踏切で、歩行者2人が電車にはねられ死亡した。この踏切は保安員が手動で操作する踏切だった。朝夕のラッシュ時に「開かずの踏切」を少しでも解消しようとすると手動式のほうがいいという。
しかし人間のやることには必ずミスが伴う。機械式にしたところで完璧な動作は保証できない。人間にしろ機械にしろ絶対ではないということを念頭に鉄道会社も歩行者も行動しなければならない。今回の場合、鉄道会社が立体化などの抜本策を取ることが必要だった。自動車の運転や一般企業の仕事でも同じであろう。
2005/3/15 ロボットの時代1
ロボットという言葉は、チェコの作家チャペックが小説の中で使ったのが最初である。1920年のことである。それから半世紀以上の間、ロボットは小説や漫画など空想世界の住人であった。
一般人の目に触れるようになったのは1970年の大阪万博からだろう。エレクトーンを演奏していたロボットは椅子に座ったままだった。1985年の筑波博ではやはりエレクトーンを演奏していた。このときはカメラが楽譜を読み取るようになっていた。しかしまだ座ったままだった。鉄腕アトム、鉄人28号、ガンダムなどアニメの世界とはかけ離れている。1990年代に普及した工業用ロボットは腕が1本あるだけの姿だった。しかしその後20年でだいぶ様相が変わる。
2005/3/14 情報化時代と都市4
情報そのものが価値を生み出すのが情報化時代である。情報の発信源は人間だから、人口密度の高い首都が有利である。では地方の過疎地には勝ち目がないのか。
過疎地の勝ち目は、都市との差異にある。首都と地方都市は文化的に均質化しつつある。しかし過疎地は独自の風土、文化を残している。それに気付いて都市にない情報を発信できるかが情報化時代に過疎地が生き残る道であろう。
2005/3/11 情報化時代と都市3
情報そのものが価値を生み出すのが情報化時代である。情報の発信源は人間だから、人口密度の高い首都が有利である。では地方には勝ち目がないのか。
地方でもその中心都市は可能性がある。首都圏よりも人的交流を濃密にできれば、情報面で優位に立てる。情報は人間の交流から生まれるからである。ただし異質な人材同士が交流できる環境が必要である。それができれば新たな産地が生まれる可能性がある。
2005/3/10 情報化時代と都市2
情報そのものが価値を生み出すのが情報化時代である。情報の発信源は人間だから、人口密度の高い都市が基本的に有利になる。世界に輸出されているアニメ、ゲームは東京産が多い。ハリウッドで注目されている映画も東京が中心である。
地方主権が唱えられながら、東京集中、東京優位はなかなか崩れない。それは情報の発信源が人間であることからくる。韓国の状況はもっと際立っている。人口の8割がソウル周辺に集中しているという。情報化時代に適した人口分布と言えるだろう。
2005/3/9 情報化時代と都市1
情報化時代は地方の時代でもあるという。確かに地方分権あるいは地方主権と情報化は切り離せない関係にある。地方が主権を持つには情報の格差がないことが基盤となる。ここでいう情報の格差とは、情報を受け取る面においてである。しかし情報を発信する点においてはどうか。
残念ながら情報を発信する格差は存在する。首都と地方の格差ではなく、都市と過疎地の格差である。情報そのものが価値を生み出すのが情報化時代である。情報の発信源はITではなく人間である。人口密度が情報の発信量の差につながる。情報化時代とは都市の時代でもあるのだ。
2005/3/8 情報の源泉
情報化時代と呼ばれて久しい。ITの発展とその利用が情報化と思われている。しかし情報化時代の主役はITではない。人間なのだ。情報は元をたどると人間に行き着く。文字情報を発信できるのは人間だけである。映像も人間が意図を持ってカメラを向けた瞬間から情報となる。
自動計測される数値データはどうだろうか。その数値の単位は人間が決めている。計測装置を設置したのも人間である。情報の源泉はすべて人なのだ。受け手もまた人である。情報化時代とは人が主役の時代である。
2005/3/7 風力発電4
京都議定書の発効に伴って、代替エネルギーの開発が急務である。風力発電はその候補である。しかし日本で普及が進まないのは設置場所に問題がある。
家庭用の電力でも直径3mから4mの風車が必要である。それが設置できる庭を持つ家は限られる。特に都市部では。ギリギリ設置できたとしても隣の家が迫っていては風が通らない。屋上に設置するならば家屋の強度を確保しなければならない。普及を妨げる原因は土地価格にある。これは電力会社が設置する大型のものでも同様である。
2005/3/6 風力発電3
京都議定書の発効に伴って、代替エネルギーの開発が急務である。風力発電はその候補である。しかし日本では普及が進まないなぜなのか。
ソーラー発電に代わる家庭用の風力発電機を想定しよう。発電機本体はエンジンで回す屋外用のものと変わりない。あとは風車と歯車である。同じ発電容量ならばソーラーと同程度の価格である。量産が進めばもっと安くなるだろう。ソーラーと違って曇りの日や夜間でも発電できる。問題は設置場所である。
2005/3/5 風力発電2
京都議定書の発効に伴って、代替エネルギーの開発が急務である。ドイツでは代替エネルギーとして風力発電に力を入れている。すでに電力の15%が風力でまかなわれているという。
発電機そのものはソーラーや燃料電池と違って枯れた技術である。風力エネルギーを発電機に供給するメカニズムも風車と歯車である。基礎技術に目新しいものはない。ではなぜ日本で普及が進まないのか。それには日本特有の問題が存在する。
2005/3/4 風力発電1
京都議定書の発効に伴って、代替エネルギーの開発が急務である。ところが、家庭用ソーラー発電の普及はなかなか進まない。発電効率が高いとされる燃料電池も、水素以外の燃料を使うと二酸化炭素が発生する。
日本では原子力への依存度がますます高まりそうな風向きである。では風力はどうなのか。風力は最もクリーンなエネルギーとなる可能性を秘めている。
2005/3/2 知的財産政策
政府は2003年7月と2004年5月に知的財産推進計画を発表した。特許など知的財産の創造・保護・活用の政策を推進するものである。大学発ベンチャーの促進、特許法の職務開発規定の改正、特許審査の迅速化など様々な政策を盛り込んでいる。
政策の背景には1990年代以降の日本の国際競争力低下がある。しかしこの間、特許の申請件数は世界一を保っているという。件数がなぜ国際競争力に結びつかないのか、その要因に迫りきれていない。また特許が関係する製造業が、わが国産業に占める割合は減っている。流通・サービス産業の知的財産はどうあるべきか、どう創出・保護するかも課題であろう。
2005/3/1 ご都合主義のルール
ライブドアとニッポン放送の攻防が泥沼化の様相を呈している。ニッポン放送の新株予約権発行、ライブドアの時間外取引、外資によるメディア企業の間接支配が論点になっている。これらには商法や証券取引法が関連する。しかし一番優先すべきは「株式市場は公平性と透明性がなければならいない」という原則ではないか。この原則に照らすとニッポン放送の新株予約権発行は論外である。
時間外取引については、このルールを作った人が責められよう。時間外取引は誰かのご都合主義で作られたルールであろう。ただし、これに抵触しないからといって原則を無視したライブドアも同罪である。
外資によるメディア企業の間接支配を問題視するならば「なぜ公平性と透明性を求められる株式市場になぜ公開したのか」という点に答えなければならない。他社による支配を回避したいのなら非公開とすべきだろう。ただし公共性が強い企業が株式公開しない場合の弊害は、外資による支配よりも深刻である。またライブドアもメディア企業であることが論じられていない。ライブドアの利用者とニッポン放送の聴取者はどちらが多いのか。そろそろご都合主義のルールに対する是非よりも、原則に対する善悪を論じる時期だろう。
2005/2/28 世界最速のサイコロ
埼玉県入間市にある入曽精密は、金属の精密切削加工を得意とする会社である。入曽精密は一般消費者向けの製品を出した。「世界最速のサイコロ」である。F1エンジン部品を加工する技術を応用し数十ミクロンの精度を持つチタン製のサイコロである。
同社は、「世界最速のお箸」「世界最速のサイコロ専用本革ケース」「世界最速のサイコロ【完全版】」「世界最小のサイコロ」などを次々に発売している。世界最小のサイコロは一辺が300ミクロンだが、1〜6の目がちゃんと彫刻してある。これらも特注品の世界である。
2005/2/26 硝子のジグソーパズル
東京都青梅市の鬼塚硝子は、工業用ガラス加工品とレーザー加工機を製造している。鬼塚硝子が一般消費者向けの製品として出したのが「硝子のジグソーパズル」である。無地のパズルだから世界最難をうたっている。 300ピースで193,830円という価格だが売れているという。この製品は、標準品としてカタログ化されている。しかしその希少性は特注品の一種と考えてよいだろう。特注品を欲しい人は必ず存在するのだ。
2005/2/25 オリジナル博多人形
福岡市にある「人形のごとう」は博多人形だけを扱ってる老舗である。実在の人物をかたどった世界にひとつだけのオリジナル博多人形を作ってくれる。博多人形の手法を使って写真をもとに特注の人形を作る。
お節句・七五三・卒業・成人式などの機会に、孫や子供あるいは家族の人形を作ることが多い。現在の悩みは注文が多くて対応しきれないことだという。全国各地から注文があり5年待ちの状況。
2005/2/24 1分の1の視点による経営
フットマーク株式会社は水泳帽、水着などの水泳用品と介護用品を製造販売している。高齢者用の水着や障害者用のオムツなど、文字通り痒いところに手が届く商品開発を実践している。「1分の1の視点による経営」を標榜し、顧客ひとりの要望を商品に具現化することが経営の柱である。
東京墨田区には直営の水着店がある。そこでは年配の人たちが特注水着を喜んで注文している。磯部社長の目下の悩みは「商品点数が多くて在庫が増えていること」だそうだ。
2005/2/23 特注製品
世の中には既製品に満足できず、特注製品を買う顧客がいる。全部が特注ではなくても自分に合うように既製品を改造して使いたいという人は多い。自分にこだわりのあるモノに対しては、誰にでもその欲求はあるのではないか。昔からファッション、自動車、ゴルフクラブなどがそうであった。
現代ではパソコンや携帯がそうだろう。パソコンのハードは既製品でもソフトは自分の好みのものを入れる。携帯もこだわりの着メロを入れる。身に着けるもの、自分自身で運転操作するものについては概ね特注品市場やカスタマイズ市場が存在し得る。
2005/2/22 スモールメリット5
今、本当に利益率の高い企業は中小規模である。スケールメリットに代わるスモールメリットが存在する。だだしそのメリットを発揮しにくい業界が存在する。根本的に商品やサービスでの差別化がしにくい業界である。
金属材料や樹脂材料など素材の製造業ではスモールメリットを発揮しにくい。装置のスケールメリットで価格勝負となるのが常である。また石油や電力などのエネルギー分野も困難である。しかし他の業界ではスモールメリットを追求できる可能性は大きい。
2005/2/21 スモールメリット4
今、本当に利益率の高い企業は中小規模である。スケールメリットに代わるスモールメリットが存在する。
業務スピードが速くなると、需要が下振れした場合に、それに追随できる。需要変動のリスクが小さくできるのだ。具体的には売れ残りによる安売りや廃棄が減少する。
売れ残りや安売りがなくなると、次の製品も高く売れる。製品の貴重感を演出できるからだ。季節限定、産地限定という貴重感もスモールメリットのひとつであろう。
2005/2/20 スモールメリット3
今、本当に利益率の高い企業は中小規模である。スケールメリットに代わるスモールメリットが存在する。
開発や製造の失敗を速く回復できることもスモールメリットのひとつである。小ロットで速く開発・製造すると失敗しても「もう一度やり直す」「次に修正する」ということが容易にできる。小回りが利くので軌道修正できるのだ。また類似商品の開発を繰り返すことによる習熟効果もある。
スケールメリット型の企業では、そうはいかない。大量に生産・仕入れした商品に問題があった場合、それを何とか手直しすることが最優先される。問題の原因を追求し、対策することは二の次となる。そして多くの場合、顧客対応は最も優先度が低くなる。
2005/2/19 スモールメリット2
今、本当に利益率の高い企業は中小規模である。スケールメリットに代わるスモールメリットが存在する。スモールメリットとは、顧客の要望に商品をぴったり合わせられることである。高く買っていただける顧客の要望に合わせて特注商品を提供すれば、利益は高くなる。ファッションや趣味性の高い商品は特にそうである。
スピードもスモールメリットのひとつである。小回りが利くので商品を提供できるスピードが速くなる。顧客の中には「誰よりも早く手に入れたい」ということを望む人がいる。その商品をライバルに先駆けて速く提供すれば、高い価格で買っていただける。
2005/2/18 スモールメリット1
たくさん作って売るというスケールメリットを追求する事業は、一見派手である。前世紀には産業の主役のような顔をしていた。しかし今、本当に利益率の高い企業は中小規模である。スケールメリットに代わるスモールメリットが存在するのだ。
スモールメリットはいくつも存在する。まず高く売れることである。市場は小さくてよいのだ。高く買っていただける顧客だけを相手にすればよい。その顧客が喜ぶ商品に特化すればよい。スケールメリット型の企業では、そうはいかない。大きな組織を養うには数をこなさなければならない。安く買いたいという顧客とも付き合わなくてはならない。
2005/2/17 検査の3D化
製造リードタイムを短縮するには3D化が原則である。3D化とは同期化(すぐやる)、同量化(1個ずつやる)、同時化(並行・多頻度でやる)ことである。これは加工や運搬だけでなく検査にもあてはまる。検査を3D化すると製造リードタイムが短縮できるだけでなく、品質も良くなる。
「すぐやらない、まとめてやる、最後にやる」という検査では、不良品が大量に発見されることが多い。大量に発生すると、「それをどう手直ししようか」という作業に追われる。不良品の原因追求や対策が後回しになるのだ。また不良品が発生してから時間が経過しているので原因がわからなくなっていることが多い。検査の3D化は加工や運搬の3D化以上に重要なのだ。これは工場だけでなくあらゆる仕事にあてはまる。
2005/2/16 京都議定書
温室効果ガスの排出削減を義務づけた京都議定書が、16日に発効した。石油や電気などのエネルギー使用量が大きい大規模事業所に対して二酸化炭素の削減義務化が進む動きがある。私は中小製造業には関係が薄いと思っていた。だがそうでもなさそうだ。大規模事業所で削減が思うように進まない場合、下請企業に削減を求めてくる可能性がある。
地球温暖化への取り組みは緒についたばかりだ。今後どのような難が待ち受けているか走り出してみないとわからない。
2005/2/15 人工呼吸器
14日相模原市の女性に対して横浜地裁で判決公判があった。難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の長男の人工呼吸器を切って殺人罪に問われていた。しかし刑の軽い嘱託殺人罪となり懲役3年・執行猶予5年(求刑・懲役5年)の判決が言い渡された。
昨年亡くなった長男は、私の友人だった。彼の人柄を知る者にとって判決は妥当だったと思う。この判決が他の場合にも当てはまるのかどうかはわからない。だがこの事件を契機に厚生労働省が患者に呼吸器をはずす権利を認めるかについて検討をはじめたという。
2005/2/14 数値による経営管理
企業の経営管理というと売上高や損益の管理を思い浮かべる経営者や管理者が多い。しかし国際標準の経営管理では会計以外の数値を管理するようになってきた。この流れを辿ると日本のTQCがルーツにある。プロセスのインプットとアウトプットを規定して、数値で管理するというやりかたである。これを一般化して数値管理を強調したのはアメリカだった。アメリカが日本のカイゼンを研究した1990年前後の成果であろう。それがISO9000などにもつながっている。
従って国際標準になったのはここ10年位のことである。企業にはまだ十分に浸透していないようだ。意図するところは単純である。「ゴルフで賞金を稼ぐには、まずスコアをつけろ」ということなのだ。
2005/2/13 株式時間外取引システム
ライブドアがニッポン放送の株式を大量に取得した。ニッポン放送はフジテレビの株式を保有する。ライブドアは、フジテレビへの経営参加を望んでいるという。フジテレビは株式売買をマネーゲーム化しているとして拒否反応を示している。しかしもともと株式市場は、企業の資金調達の場であると同時に投資家の資金運用の場でもある。企業は資金調達だけしておいて、投資家の運用を拒否することはできない。
それよりも私が気になるのは、ニッポン放送株の取得に東証の時間外取引システムが使われたことだ。時間外取引システムは、投資家全員に機会が平等に与えられているとは言い難い。時間外取引システムの運用には制限が必要ではないか。
2005/2/12 サッカー型組織2
サッカーは野球に比べて選手間の相互作用が強い。そこにあるのは選手間の意思疎通の量である。野球は監督の意思をを一方通行で選手へ伝える場面が多い。またボールをやり取りする回数はピッチャーとキャッチャーが圧倒的に多い。試合中にボールを触る回数の8割位はピッチャーとキャッチャーではないか。
それに比べてサッカーはボールに触れる回数が平均化されている。またパスを通じた選手間の意思疎通の回数が多い。企業の組織に置き換えれば上位下達で動くのが野球、権限委譲と部門横断チームで動くのがサッカーであろう。
2005/2/11 サッカー型組織1
サッカーは一度ピッチに立つと監督の指示を逐次聞いていられない。一球ごとに監督やコーチのサインを見ている野球と違う点である。意思決定が前線に権限委譲されていると言える。意思決定の権限を分散しておかないと、変化の激しい状況ではスピードについていけないのだ。
企業でも前線に意思決定を権限委譲すると事業環境変化への適応力があがる。ただし事業環境の変化が乏しい場合には野球型組織のほうが有利である。野球はサッカーと違い大量得点の可能性がある。ただし大量失点の危険と裏腹でもある。
2005/2/10 サッカー日朝戦
サッカーワールドカップ最終予選がはじまった。北朝鮮戦は2対1で勝利。同点に追いつかれてから高原と中村を投入して流れが変わった。そしてこれも途中出場の大黒が決勝点を決めた。サッカーでは、選手交替すると流れがガラッと変わることがある。
この試合もそうだった。単にそのポジションが補強されるだけでない。全員の動きが違ってくる。野球と比べると、サッカーは選手間の相互作用が強い。企業の組織にも応用したい点である。
2005/2/9 学生症候群3
「学生症候群」とは、学生に限らず宿題を納期ギリギリまでやらないという行動である。なかには納期を過ぎても平気な人がいる。「やってもメリットがない」と思っている人である。こういう人を変えるのは、やっかいである。評価指標を変えること、繰り返ししつこく説得することが必要である。
学生症候群は、目先の快楽や怠惰を追うという人間の本能的な行動に根ざしている。改善は容易ではない。私は年金問題や地球温暖化問題への対策が学生症候群に陥っていないことを祈っている。
2005/2/8 学生症候群2
「学生症候群」とは、学生に限らず宿題を納期ギリギリまでやらないという行動である。習慣になっている行動を変えるのは大変である。「良いとはわかっていても、変える途中がイヤだ」ということが多い。変える途中の抵抗感を取り除く必要がある。
例えば夏休みの宿題を毎日やろうとすると、宿題のノート毎日探し出す必要がある。まず机の上の整理整頓が必要なのだ。変える過程で抵抗になっていることを地道につぶすことが学生症候群の改善に必要である。
2005/2/7 学生症候群1
「学生症候群」とは、宿題を納期ギリギリまでやらないという行動を指す。社会人にもあてはまる。私にも心当たりがある。目先の快楽や怠惰を追うあまり問題を先送りするのだ。なぜ学生症候群がはびこるのか。ひとつの原因は時間感覚にある。例えば1日10分やれば終わる夏休みの宿題を1カ月ぶんまとめると5時間かかる。まとめるとイヤになってしまうはずである。
ところが時間の見積りをやらない人が多いのだ。「この宿題できる?」と聞くと「できます」と答えるのに、「いつできる?」というと「やってみないとわかりません」と答える人がいる。時間感覚は、時間を見積もって結果を測定する習慣から生まれる。それが学生症候群対策の第一歩である。
2005/2/6 デジタル家電バブル
大手電機メーカーの2004年10−12月期連結決算が出そろった。昨年後半からデジタル家電が失速したことが明らかになっている。デジタル家電景気はバブルだったのだ。ITバブルの次はデジタル家電バブルである。バブル景気はなぜ繰り返されるのか。人間の本能に根ざしているからだろう。「人が集まるところに良いことがある」と思う群集心理である。
確かに人がいなくてはビジネスは成り立たない。しかし人と同じことをやっても価格勝負の消耗戦に陥るだけである。人が集まるところでオンリーワンの商品を提供できる企業はバブルと無縁なのだ。
2005/2/5 後継社長
「資生堂の新社長は14人抜き」という報道があった。年功で役員の序列を決めている会社であっても、後継社長は実力と、安定的な就任期間の長さが求められる。それでこのようなことが起きるのだろう。中小企業の後継社長は、社歴からいくと何10人抜きとなることも少なくない。しかし候補者は早くからNo2に就任させて自覚と経験を持たせておく。このほうが合理的である。
大企業でも社外から後継社長をスカウトすることが増えている。実力と就任期間を考えると、そこに行き着く。日産のゴーン社長は「何人抜き」とは無縁なのだ。
2005/2/4 プロの組織
サッカーワールドカップ最終予選の北朝鮮戦が近づいている。在日のJリーガー2人が出場するという。2人の心中を想像してみた。在日の彼らは金正日どう思っているのか。だが彼らにとって金正日は眼中にないことに気づいた。ワールドカップへの夢があるのだ。
プロスポーツ選手にとってオーナーが独裁者かどうかは関係ない。そうでなければ巨人軍の選手はやっていられない。そこが企業の組織とプロスポーツの組織の違いであろう。
2005/2/3 インターンシップ
電気通信大学共同研究センターで、学生のインターンシップ体験報告を聞いた。インターンシップ行く前後で学生は変わるという。短期間とはいえ職業を実経験してから就職するのと、そうでないのとは大違いであろう。本人の能力・志望と企業が求めるものとの断絶も減らせると思う。
残念なのは、インターンシップを経験する学生は、全国では数%に過ぎないことだ。
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