第2章 5つのステップ別実施事項
(18)リードタイム短縮段階の方針管理:製造リードタイム1/4を目標にする
リードタイム短縮段階の方針管理は、製造リードタイムの短縮を目標に設定し、その実現に取り組む。その目標を設定する時に留意すべき点がある。製造リードタイムの定義を厳密にすることである。リードタイムは正確に定義しないと、人によって意味が異なってしまう場合が多い。どこからどこまでの日数を指すのか、その基点と終点を定義しておくことが必要である。
製造リードタイムの定義は、「個別の最終製品の生産計画作成開始日から計画対象の製品がすべて完成するまでの日数」とするのが一般的である。製造リードタイムといってもモノが流れる所要日数だけではない。生産計画などの情報の流れに要する日数を含んでいる。
生産計画には製品群別の計画や中間製品の計画など複数存在する場合がある。しかし製品の欠品や客先への納入に直結するのは個別の最終製品に対する生産計画である。したがって製造リードタイムの基点は個別製品の生産計画にする。付け加えると、日数は勤務日数ではなく、暦の上の日数である。また基点となる日は「0日」とカウントする。
目標値は取り組み前の1/4とする。厳しい目標のように聞こえるだろう。だがさほどではない。製造リードタイムの長い企業では、製品の加工や組立に要する時間よりも、在庫で停滞する時間のほうが遥かに長いことはよく知られている。その在庫は材料・仕掛在庫削減段階で1/2になっている。納期遅延で日数が延びることに対しては納期遵守段階で対策している。残っているのは生産計画など情報の流れの改善なのだ。
製造リードタイムの長い企業では、仕掛在庫の停滞より長い停滞が存在する。情報の停滞である。生産計画サイクルが月次だと、それだけで製品がすべて完成するまでに最低1カ月を要する。作るべきモノの情報が停滞しているのだ。生産計画サイクルを短縮すること、生産計画を作成する日数を短縮すること、生産計画に関連する資材調達業務の日数を短縮することで製造リードタイム1/4が達成される。