第2章 5つのステップ別実施事項
(10)納期遵守段階の改善活動:納期遅延の原因に迫る
納期遵守段階の改善活動は、各職場の要望納期充足率と回答納期達成率の向上につながる改善を実施する。特に重要なのは回答納期達成率である。回答納期は他職場に対する約束である。その達成率が上がると職場間の信頼が上がる。それが次のステップで職場間の流れに取り組む時の基盤となるのだ。
各職場の回答納期達成率を上げるには、他職場の協力が必要である。回答納期に対する納期遅延が発生した時、発生職場から連絡書など一件一葉の形式で関係職場へ連絡されることがある。納期遅延の原因や影響は他職場にも関連するからである。連絡を受けた各職場では、それぞれの対処が行なわれる。
しかしその場の対処はされても遅延の原因に対策するという行動に結びつかない。原因や発生頻度がひと目でわからないからである。
「納期遅延マップ」は、納期遅延の発生状況を原因となった業務別に図示する。さらに原因への対策内容も図示する。原因別の発生頻度と対策を見えるようにするものである。
具体的には下図のように、部門別、業務別の枠を記入したフォーマットを作成する。そこに納期遅延を発生させた原因業務に、納期遅延マークを1件につき1個ずつ付ける。納期遅延マークは、納期遅延の原因別に「★」「◆」など異なるシンボルを用いる。
納期遅延の発生職場と原因職場が部門間をまたがる場合、その部門と原因を特定する担当者を決めておく。一般的に工場内の納期問題については生産管理部署が、客先に対する納期問題については担当営業部署が行なうとよい。
集計・報告は、週または月の頻度で行なう。関係者全員に報告することによって、納期遅延の発生原因を関係者全員で理解する。さらに対策状況を共有することで、類似原因への対策に応用できる。重要なのは納期遅延の具体的な内容を関係者が覚えているうちに行なうことである。忘れてしまった内容について議論しても、納期遅延は減らない。