第2章 5つのステップ別実施事項
(7)納期遵守段階の評価制度:要望充足率と納期達成率を評価する
納期遵守段階はその名の通り納期に着目する。評価制度も納期に関する指標を整備する。納期がどの程度守られているかを数値で評価するのだ。
評価指標を設定する対象は各部門に関連する納期である。営業部門は顧客に対する製品やアフターサービスの納期である。生産部門は生産計画に対する納期である。調達部門と開発部門は、それぞれ資材・外注の納入納期と設計図の完成納期である。
納期に関する評価指標を設定する際に重要な点がある。「要望納期」と「回答納期」を区別することである。納期は顧客と企業の間、あるいは職場と職場の間の約束である。ひとつの職場で勝手に決めるものではない。顧客あるいは後工程が持つ「要望納期」に対して、前工程が実行を約束するのが「回答納期」である。
「要望納期」と「回答納期」は必ずしも一致しない。リードタイムが長いと要望どおり回答できない。トラブルが多ければ余裕を含めた回答になる。需要増加で受注残が増えている場合も回答納期は遅くなる。
ある企業では要望どおりできないことがわかっていながら「顧客の要望だから」という理由で回答納期を明確にしていなかった。これは顧客重視のようでいて実は無責任である。納期は精神論だけでは守れない。約束できる納期を回答によって明確にすることが重要である。
評価指標は各部門でそれぞれ2種類設定する。「要望納期充足率」は顧客の注文あるいは後工程計画の「要望納期」に対して、「回答納期」がどれだけ応えられたかの件数比率である。少なくとも日付単位、理想的には時間単位で要望に応えた比率を算出する。基準リードタイムの長さと総需要の変動に対する対応力が影響する指標である。
「回答納期達成率」は「回答納期」が実際に達成できた件数の比率である。各職場の計画精度、その基になる基準データの整備レベル、品質異常や作業トラブルの発生頻度が影響する。