第1章 清流化を根付かせる5つのステップ
(3)5つの活動で業務改善と全体デザインを融合する
モノと情報を全社的にスピードアップする「清流化」は5つの活動に取り組む。中心となる活動が「方針管理」である。経営トップが「こういう所を目指すぞ」という決意を表明することが全社活動の出発点である。そしてそれを丹念にフォローアップする。現代は、個人の能力、個々の部署の能力を組織として結集しないとライバルに勝てない。スピードアップも例外ではない。方針管理が活動の基盤である。
2つめの活動は「デリバリー保証」である。業務の方法・流れ・ルール・組織をスピードの観点からデザインして作り込む活動を指す。受注・設計・調達・製造・配送・納入といった顧客に至る一連の業務を再編成するのである。したがってこの活動の結果が業務スピードに直接影響する。
「デリバリー保証」は価格以外の差別化要素を生み出す活動でもある。顧客に至る業務を見直すことによって、短納期・特注対応・インターネット受注・支払方法の多様化など従来よりも顧客の利便性を上げることができる。それが非価格競争力になるのだ。
3つめは「改善活動」である。全社の業務全体は巨大なシステムである。人・材料・設備・カネ・情報の動きを伴っている。これを「デリバリー保証」の活動で細部までデザインすることは事実上不可能である。関連する部署や個人が個々の業務を底上げするという活動がないと全社の業務は良くならないのだ。良い部品がないと、良い製品はできないように、個々の業務レベルが上がっていないと、全社のデザインも良いものができない。
このように方針管理を中心に個別業務の底上げと全体デザインの両面から取り組んで融合することが「清流化」の特徴である。
「清流化」には、あと2つの活動がある。「創発活動」と「評価制度」である。これらは「方針管理」を補強する活動と位置づけられる。「創発活動」と「評価制度」については次節で紹介する。