第2章 サプライチェーンマネジメントの実践
2.2 製造業のSCM類型
(4)素材・部品メーカー
「企業者向け(B2B)」の「部品・消耗品」におけるSCMは、どの様な姿が理想でしょうか。この領域は、一般的に「素材・部品」と呼ばれる商品です。製造業が材料として購入するモノはもちろん、流通・サービスなどで消耗されるモノはこれにあたります。
産業用ですから、一般消費者より限定された顧客を対象に、比較的大量に繰り返し取引することが特徴です。また、使用者個々のニーズに合わせて、同種の製品でも標準品から特注品まで多品種になるのが普通です。顧客は、最終消費者の需要動向に合わせて調達しようとします。納期は短ければ短いほど好都合です。標準品では即納、特注品でも短納期が求められます。
顧客は、発注してからの納期だけでなく、発注するまでの在庫管理や事務手続きにかかる手間・期間・期間も少なくすることを望みます。供給者がVMIを実施すれば、他社との差別化が可能です。さらにVMIを実施しつつ供給者の在庫を削減するには、顧客への納入リードタイムが許される範囲で、各地の物流拠点を集約することが必要です。
VMIを実施しない顧客に対しての受注について、そのスピードを上げるためにはEDIが必要です。さらに、新規の顧客を開拓するには、供給者としてeマーケットプレースへ参加することが有効でしょう。
工場では、売上や在庫の動きに早く追随することが求められます。日用品メーカーの場合と同様に、需給計画サイクルの短縮、SCPの利用、加工や運搬の小ロット化が必須です。
一方、その製品を創るための材料は、さらに加工度の低い素材ですから、サプライヤーは少数です。eマーケットプレースを使った新規サプライヤーの探索は不要な場合が多いでしょう。サプライヤーに対しては、日常の発注にEDIを使い、さらに先の生産計画を公開することによって、流通や工場の変化に追随できるようにすることが重要です。