納期半減の生産清流化
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製造企業のデリバリー管理とSCM
第1章 デリバリー管理
1.5 全社的デリバリー管理 納期遵守段階
 (2)納期遅延マップ

 納期遅延情報は、納期遅延発生部門から速報や連絡書といった一件一葉の報告書形式で伝達されることが多く、伝達を受けた部門では適切な対処を行った後ファイルに綴じて保管します。しかし、これでは全体としての発生状況が把握しにくいという問題があり、なかなか改善に結びつきません。

 「納期遅延マップ」は、業務別の納期遅延発生状況とその理由および対策内容をマップ上に示すことにより、どの業務で何件納期遅延が発生し、その発生原因と対策内容はどうであったかを可視化する手法です。

 具体的には図1.15のように、業務別/部門別に分類したマップを作成し、納期遅延を発生させた原因部門に、納期遅延マークを1件につき1個ずつ付けます。納期遅延マークは、納期遅延理由および対策毎に「★」「◆」など異なるシンボルを用います。このマップを作成することによって、業務別/部門別/原因別の納期遅延発生状況が可視化でき、納期遅延の多い業務/部門等がひと目でわかるようになります。納期遅延マークが多くついている部門は、他部門から責められるので対策を真剣に考えるようになります。

 納期遅延の原因部門は、納期遅延が結果として発生した部門ではなく、納期遅延を生じさせるきっかけを作った部門としなければなりません。例えば、材料不足によって生産ができなくて納期遅延となった場合には、納期遅延の原因部門は製造部門ではなく材料調達部門となります。

 もし、納期遅延の発生部門にマークを付けるルールにすると、部門間の軋轢を大きくしてしまうので注意が必要です。また、部門をまたがる原因の特定は、工場内の納期問題については生産管理部門が、客先に対する納期問題については営業部門が行うとスムーズに特定できます。

 集計・報告の頻度は、週次または月次程度のサイクルで行います。関係者全員に報告することによって、納期遅延の発生原因を関係者全員で理解し、恒久的な対策を実施していくことで納期遅延発生を段階的に減らしていく効果があります。ここでのポイントは、納期遅延の具体的な内容を関係者が覚えているうちに行うことです。忘れてしまった内容について議論しても、納期遅延は減りません。

 回答納期達成率と資材納入率の目標は95%に設定するのが適当です。これ以下の達成率では、担当者が「納期遅れが多い」と感じるようです。95%を超えると納期遅れは例外と割り切れるようになります。

 逆に100%に近い状態になった場合、さらに向上しようとすると、担当者は技術的・資金的制約を考えてしまい、「これ以上の改善は困難だし、もう十分だろう」と思うようになります。例えば「老朽化した設備のトラブルで遅れる」といった場合です。このような場合には、達成率の定義を変えるのが有効です。例えば日付単位から時間単位に変えて、その数値を上げようと取り組めば、「設備トラブルを予知できないか」「代替設備でカバーできないか」「運搬のタイミングで改善できないか」といった新たな発想が出てきます。

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