1.先延ばし症候群とは (1)どこにでもある先延ばし 「先延ばし症候群」という言葉をご存知でしょうか。PCN症候群とも呼ばれます。Wikipediaを見ると「先延ばし」として以下のように書かれています。
先延ばしは心理学の解析対象となっているのです。昔から「学生症候群」といった言葉は使われていました。夏休みの宿題になかなか取り掛かれない学生を指したものです。8月30日になって、泣く泣く7月の日記を書き出した経験を持っている人は多いでしょう。学生症候群も先延ばし症候群の一種と言えます。 私が先延ばし症候群に関心を持ったのは「生産清流化」の改善支援をしてきた過程にあります。「生産清流化」は製造企業における業務革新・組織革新のシナリオです。納期短縮を目標として事業環境の変化に適応できるしなやかな企業体質を創る活動です。納期問題を抱える企業は多いのですが、仕事を先延ばしする心理的傾向が原因となっていることも多いのです。この傾向を改善しないと企業の納期問題は解決しないことから研究をはじめました。 これまでに先延ばし症候群の原因と対策がある程度まとまってきました。本稿ではその話をしていきます。また経験の中から先延ばしには「個人的先延ばし」以外に「組織的先延ばし」と呼べるものがあるということがわかってきました。本稿では組織的先延ばしの類型と対策方向にも言及します。 さて先延ばし症候群はどこにでも見られる現象ですが、代表的なものは「夏休みの宿題の開始」でしょうか。また「ダイエットや禁煙の開始」もぐずぐずして始められない経験は多いでしょう。仕事を優先して「家族サービス」を先延ばししていることはないでしょうか。逆に納期が迫ってきた仕事のほうを先延ばしにしていることもあるでしょう。これらをどうしたら改善できるでしょうか。 先延ばししても最終的にやる人はまだマシです。先延ばした挙句やらないという人がいることも事実です。結局やらない人は社会的不適合者です。そういう人が案外多いことが気になっています。これに対する答えはまだ持っていません。社会学の範疇になるでしょう。
先延ばし症候群とは
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